人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は、書籍『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)のなかで、社会人がキャリアップをするには、自分の「持ち味」を明確化し、キャラをつくりあげることが大切であると説いています。

「そういうキャラだから」で納得してしまうスゴい効果

人気漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)の主人公・ルフィは、「海賊王に俺はなる!」と言いながら、敵と戦っては、たびたび城・牢獄などに捕まってしまいます。そして仲間が必ず助けにやってくる。そう、同じパターンの繰り返しです。

 

なぜルフィは同じようなことばかり繰り返すのでしょうか。それは、彼の「ルフィというキャラ」が変わらないからです。

 

ルフィの仲間、サンジにしても、自分が殺されそうになっている場面でも、プリンちゃんが可愛い表情をすると目がハートになり、鼻血を流すのと一緒です。「命が危ないのに、女の子を前に目をハートにさせるなんて」と訝(いぶか)しがっても詮(せん)無きことです。「キャラ」は変わらないのです。そう割り切りましょう。

 

ルフィはサンジにはなれないし、サンジはルフィにはなれないのです。キャラなので変わり様がありません。逆に、「キャラだからしょうがない」と考えれば、相手の特異な言動も諦めがつきます。

 

ルフィは「ゴムゴムの実」を食べたことで、ゴム人間となり、しなやかで伸縮性を持つようになった肉体から繰り出す技を使います。しかし、他のキャラの武器や技は使いこなせません。

 

われわれも同じです。人にはそれぞれ持っている武器や得意技があります。しかし、他のキャラの武器や技は上手く使えません。

 

今のご時世、テクノロジーでビジネスが一瞬で変化する時代です。自分の資質にないものを時間をかけて苦労しながら、ゆっくり鍛えていく余裕は本来ありません。できるようになる前に時代が変わってしまうからです。

 

中高年は特に危険です。年代的に個性を伸ばすよりも、替えがきく歯車のように平均的に誰でも同じようにできるようになる指導や教育を受けてきているからです。

「こんなに頑張ったんだから」と思いがちだが…

それがなぜ危険かというと、苦労して時間をかけてちょっとだけ成長したものには愛着が湧(わ)いてしまうのです。時間もかかり苦労もしたので逆に捨てられなくなるのです。実はその人の資質(動機・性格・価値観)にあっていることは、本人が特に意識しなくてもスイスイできてしまうので自覚していないことも多く、余計に誤解してしまいます。

 

資質とは
資質とは

 

ここでキーになるのは資質の「使い方」です。いくら向いているからと全てを同じように鍛えよう、使えるように鍛えようとすると時間がかかります。

 

そこで提案です。これからの時代は、『北斗の拳』(原作・武論尊、作画・原哲夫/集英社)ではなく、『ONE PIECE』でいきましょう。

「たくさんの技」ではなく「自分だけの武器」を持つ

『北斗の拳』は北斗、南斗などのコアな流れに加え、たくさんの流派があります。

 

その上で、たくさんの技があり、習得にも時間がかかります。一生のうちで使うかわからない技、使わない秘奥義まで習得するとなると教える方も手間と時間がかかり、一子相伝(いっしそうでん)になります。しかし、一生の間で使うかわからない技、使わない秘奥義まで習得することは、これからの時代は無駄でしかありません。

 

その点、『ONE PIECE』は近代的です。悪魔の実を食べた者は特殊な能力が身に付きます。

 

「ゴムゴムの実」を食べると体がゴムになります。主人公のルフィは、戦いの試練を乗り越えながらゴム人間という資質をバージョンアップさせていき、今では「ギア」で身体・戦闘能力を大きく上昇させることができるようになりました。インペルダウン(作品内で登場する監獄)で毒から再起したことにより、毒物に対する強い抗体もできました。

 

さらに、新世界編からは2年間の修行で新たに習得した「覇気(はき)」を使い、相手の動きを読んだり、技の威力を強化したりすることもできるようになるなど、持ち味に磨きをかけています。

 

「メロメロの実」のように相手を魅了し、石にする等、他の実の力を使うことはできません。悪魔の実は一人1個しか食べることができないからです。ゆえに、スパッと割り切りができます。他人の実の力をうらやましがってもしょうがないのです。

 

自分が食べた実の力をどう活用し、強くなるかだけを考えるしかないからです。変化が激しい時代こそ、そのたびに新しい技や武器を覚えていたらきりがありません。

 

資質になければ習得する前に時代が変わってしまい、かけた時間や工数が無駄になります。資質を知り、キャラをハッキリさせることでそれが可能になります。

 

たまたま、あなたと似たキャラがいても大丈夫です。同じ業界や仕事をしていれば、同じような資質をもった人材が集まるからです。その時はコンボを覚えましょう。格闘技ゲームでは、小さな技をたくさん連打した結果、相手に大ダメージを与えるものをコンボといいます。

 

メインのキャラが一緒でも他の資質全てが被ることはありません。資質の可視化、コンボの組み方を学んでいきましょう。

 

ポイント 資質でキャラをハッキリさせ、自分の悪魔の実の力に気づこう

 

 

松本 俊明

人事・戦略コンサルタント
HRストラテジー代表
 

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