AIやロボットをはじめ、テクノロジーの変化が著しい現代社会。人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は、書籍『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)のなかで、「キャリアの逆張り」について自論を展開しています。

自分のキャリア…「アップ」よりも「スライド」で勝つ

質問 会社に残るべきかが、わかりません

 

 キャリアはアップではなく、「スライド」で考える

 

普通にキャリアを考えると、業界やその会社で上に登ることになりますが、上にいけばいくほど狭くなります。ライバルも同期だけではなくなります。上司や先輩、先人の識者などで上は詰まっているからです。熾烈(しれつ)なポジション争いになります。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、苦労して1ミリでも上に上がっても、下のマーケットは増えていきません。まさに血の雨がふるレッドオーシャンになります。そこで発想を変えましょう。

 

今の居場所で自立して一人前になったら、勇気を出して横の山に進むのです。対象となるマーケットを移し、そのマーケットでよそ者の視点と知見から、新しい価値を提供すればいいのです。

 

同じマーケットを相手にしていると同じような思考パターンにおちいるので確実に喜ばれます。ライバルもいないので一人勝ちになります。

 

キングコングの西野亮廣さんなども同じような戦略をとっています。お笑いの世界で時代を摑んだ西野さんは、先人のつくった道をいくのではなく、自分の道を進んだと著書に書かれています。お笑いで摑んだ知見をスライドし、絵本作家、オンラインサロンをはじめ、次々に確実に当て続けています。

 

キーは、逆張りです。ライバルがいないか少ない「アウェイ」にスライドし、自分の資質や経験の中から、相手に喜んで貰えそうなことを行えばいいのです。

 

有名人ではなく、普通のビジネスパーソンで成功するパターンを紹介しましょう。

ライバルがいない分野に「スライド」する

■パターン1 逆張りしてスライド

Aさんは30歳まで役者を目指して挫折。初めての就職は研修会社の営業。役者で培った洞察力と度胸が活き、あっという間にトップ営業へ。しかし、役者の夢は諦めきれず、35歳で再度劇団へ。

 

役者をする傍ら、スポンサー集めの営業をしたら大成功。役者は演技力があっても営業力はない。逆にAさんは演技力が並でも営業力がある。結果、Aさんは劇団の幹部へ大昇進。現在は元役者の演技力をベースにした営業研修でブレイク中。

 

資質を活かしてライバルがいない分野にスライドして成功した典型です。

 

上記例と同様にIT系はどの会社もエンジニアの確保に苦しんでいます。なので、エンジニアから人事にスライドすると美味しいキャリアになります。エンジニアの立場や気持ちがわかるので、エンジニアに響く人事の打ち手が湧いてくるからです。職人や職人の意見を聞くようにエンジニア出身だと現場との心の距離感は近くなります。

 

■パターン2 他の人にない経験の逆張りでスライド

55歳で大手のシステム会社で役職定年になったBさん。マネジャーまで出世できず、上司の8割は元部下や後輩。技術も過去のもので窓際族でした。そこで、過去の経験を洗い出し、成長中のIT会社の社長が困っていることで、他のエンジニアが苦手なことをピックアップ。

 

30年以上のプロジェクトの中からメンタル不調者や退職者がでなかった経験に着目し、そこを売りにしてアプローチした結果、伸び盛りのITベンチャーの管理部門の執行役員に転職が決まり、年収も2割アップ。

 

自分独自のありがとうの声を活かした典型例です。

 

■パターン3 ライフステージの変化にあわせ趣味を実益に逆張り

私の友人である早川哲朗さんは、元日本を代表するDJの一人でしたが結婚を機会に土日仕事のDJを減らし、インタラクティブプロデュース業に注力し始めました。一方で、子守もできるし、周囲もハッピーにできると考え、趣味だった牡蠣バーベキューを発展させ、牡蠣尽くし料理会を展開。

 

子供の学校や友達家族を巻き込み、家族ぐるみで楽しめると評判となり、収益化に成功。元DJらしく楽しませる演出力を活かした結果と言えます。

 

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「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方

「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方

松本 利明

KADOKAWA

市場価値に左右されない、「自分の価値」の組み立て方を解説した話題書! 著者は、PwC、マーサー、アクセンチュアといった世界的な外資系コンサルティング会社で5万人以上のリストラを手伝い、その一方で、6500人を超えるリ…

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