成長期?安定期?事業のライフサイクルの見極めが重要
「大企業からベンチャーにいったら人生がアドベンチャーになった」という人は、実は大量に存在します。その企業の卒業生会、同期会、同窓会、趣味の会から姿を消すので気づくと見なくなっています。
恥ずかしくて引っ込んでしまうのですが、そういう方を仕事柄多くみてきました。
逆に大企業からベンチャーに移って成功している人もいます。その差は何か。事業のライフサイクル「導入」「成長」「安定」「衰退・再展開」のどのフェーズが自分にあっているかを知り、そこから出ずに異動や転職をするので成功しているのです。
各フェーズの特徴を解説します[図表1]。
1.導入期
限られたお金と人手を貴重な資源としてビジネスを成功させるため、様々なチャレンジをするフェーズです。
また世間で受け入れられているビジネスではありません。新しいアイディアを紡(つむ)ぎあげるだけでなく、信頼を得るために品質のバラツキがないようにする気配りも大事です。
このフェーズではワンマンか同志が集まり組成されます。ビジョンや構想力がある社長とその応援団が集まるFacebookのようなスタイルが今風でしょう。
今、ここにいる仲間で未来を夢見てチャレンジする仲間意識が高い人が集まります。
そしてある時、市場の摑み方がわかり、一発当てると次のフェーズに向かいます。
2.成長期
成長期の初期段階の社内は躍動感に沸き、活気づきます。前向きな取り組みに果敢にチャレンジします。導入期や成長期の失敗・成功の経験は小さな組織では共有が速く、成長の確度も高まります。
「売上が全てを癒(い)やす」状況となり、売上も規模も急成長していきます。経営企画、マーケティング、人事など、組織の機能がわかれていき、やがて安定期を迎えます。
3.安定期
我社の儲かるビジネスモデルが確立し、計画的に仕組みと管理で組織を動かしていくようになります。伸びが落ちてくるので差別化・ブランディング、効率化を行うなどして、利益とビジネスモデルの寿命を保ちます。
市場の変化により、ビジネスモデルが終焉(しゅうえん)を迎える段階です。一部のリーダー企業はキャッシュを生み続けることができますが、それ以外の企業は、撤退するか、イノベーションにより新たな価値の創造を行うか、どちらかになります。
それぞれのフェーズで求められる資質は異なります。仕組み化しルールを決め、守らせる安定期に資質がフィットした人は、成長期の売上が全てを癒す、勢いはあるけれど、先々は安定的に読めず、ほころびが出ても、何とか状況対応しながら支えていく状態は不安でストレスしか感じません。
安定期向きの人なら成長期だとフラットな文化なのに、階層をつくり、指揮命令系統で動かそうとするなど、安定期の組織で成功したやり方を持ちこもうとして逆に浮いてしまい、居場所を失うのです。
サイバーエージェントの取締役統括の曽山哲人さんいわく、サイバーエージェントでは新規事業の提案を社内で集め、藤田晋社長が最終的に承認したとしても、事業の立ち上げに関しては「その事業の立ち上げに向いている」人材でアサインします。事業アイディアを総創発することと、成長させる人材は異なることを多くの失敗と成功から学んできたからだそうです。
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