「専門性や経験」が目を濁らせる…「仕事選び」で一番大切な要素は?【元PwCの人事コンサルタントが解説】

「専門性や経験」が目を濁らせる…「仕事選び」で一番大切な要素は?【元PwCの人事コンサルタントが解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

さまざまな会社で人事・戦略コンサルタントとして活躍してきた松本利明氏の書籍『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・編集し、好きなことを仕事にできる条件を紹介します。

好きなことを仕事するときに重要になる要素

好きなことで食えるかどうかは、

 

「資質の強さ×スキルをあげる環境×その業界の市場特性」

 

によります。

 

バイオリンを弾くのが好きなので、世界的なバイオリニストを目指すとしましょう。目指すには、他人からみると天性と思われるくらいの類(たぐい)まれな素質があることが前提です。

 

世界レベルのスキルが身に付けられる環境に身を置けること。そのプロセスを経て世界的コンテストで優勝するなど、高い壁がこれでもかとあります。

 

どんなに資質が高くても、近所のバイオリン教室に週1回しか通えなければ、その道は遠ざかります。世界的なプロとして食っていける数少ない椅子に座り続けられなくてはいけない狭き門です。諦めればいいかというと、そうではありません。

 

見方を変えて業界の市場特性を見ると、人に教えるのが得意な資質があれば、町のバイオリンの先生になる道も開かれています。ただし、町の先生の椅子となると世界的バイオリニストほどは稼げません。それでもよければその道もあります。

 

好きなことを、ライフワークの趣味で楽しむか、仕事にできるかは、その業界の市場特性が一番影響を持ちます。

 

また、注意するべきは「できること」です。20代でやってみたらすぐできたことであれば資質があるとみていいでしょう。問題ありません。

 

危ないのは中高年です。資質がないことをできるようにするには「労力×期間×ストレス」がかかります。長期間かけ、めちゃくちゃ苦労した上で、「ちょっとだけ」成長し、「できるようになる」のです。資質がある人の数倍から数十倍は苦労するのです。

 

対人関係の資質が弱く、苦節20年、45歳で5名のチーム運営ができた「石川さん」がいたとしましょう。周りからみると、マネジメントの伸びしろは薄く、本来の持ち味を活かした方がいいように思うでしょう。ところが石川さん本人は、「マネジメント」が苦労してできるようになってきたので、逆に怖くて手放せなくなる心理が働きます。

 

苦労した自分の時間と労力を無駄だったとは思いたくないからです。これは、リストラされる人にみられる傾向でした。勇気を出しましょう。資質にあっていないものは捨て、資質にあっているものを上手に拾うべきです。

 

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