インバウンド効果に伴い、注目を集めているのが民泊需要だ。民泊ビジネスを始める絶好のチャンスが到来しているわけだが、やみくもに民泊ビジネスに手を出しても収益を手にすることはできないだろう。民泊事業に投資する人からは「運営代行業者へのコストがかかりすぎる」「民泊に適した好物件をつかむことが難しい」などの声が聞かれるなか、こうした課題を解決する「自動化データ民泊システム」を構築し、年間数千万円の収益を実現することを可能にしたAdventierraの村澤秀明代表取締役に話を聞いた。

インバウンド・ラッシュで民泊需要が急拡大

日本政府観光局(JNTO)の推計によれば、2024年10月の訪日外国人旅行者数は2019年の同月比で32.7%増の331万2,000人に達している(図表参照)。大都市圏や主要な観光地のみならず、全国津々浦々に海外からの旅行者が押し寄せている。円安も追い風となってインバウンドが回帰し、もはやコロナ禍前を凌ぐ状況になっている。

 

[図表]訪日外国人客数日本政府観光局より
 

こうしたインバウンド・ラッシュを受け、脚光を浴びているのが民泊ビジネスだ。

 

最初に日本でスポットが当たるようになったのは、Airbnbの日本版公式サイトがオープンした2013年頃だ。2008年に設立されたAirbnbは、宿泊先を探している旅行者(ゲスト)と空き部屋を貸したい人(ホスト)とをネット上でマッチングさせるプラットフォームの世界最大手である。

 

自宅の一部や所有しているアパート・マンションなどを宿泊施設にリフォームし、Airbnbを通じて集客する人が急増した。日本でも民泊ビジネスがブーム化。アパート・マンション投資などと比べて比較的少ない初期費用で始められ、ホテル・旅館業と比べて運営コストが相対的に低いことなどが人気に火をつけた。

民泊ビジネスが魅力的である5つの理由

だが、コロナのパンデミック(世界的大流行)という逆風が吹き荒れる前から、ブームに陰りが生じ始めていたのも確かだ。2017年に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が制定されて運営上のルールが細かく定めたれたことに加えて、期待通りの利益が得られなかった人が少なくなかったことも影響しているようだ。

 

「運営を代行業者に委ねた結果、その手数料負担が利益を圧迫しているというケースが散見されます。

 

また、あまり需要を見込めないエリアや物件を選び、集客に関するノウハウもないことから、いっこうに初期コストを回収できないというケースも多いようです」

 

こう指摘するのは、不動産投資歴が12年になる株式会社Adventierra代表取締役の村澤秀明さん。民泊ビジネスには2016年に最初に取り組み、一度コロナ前に事業譲渡した後、コロナ明けから民泊・旅館物件の開業を急拡大し、現在グループで約70物件を運用している。

 

(写真)村澤秀明代表
 

村澤さんいわく、着実に需要を見込めるエリア・物件を選んで運営代行業者任せにしなければ、①収益性、②将来性、③安定性、④参入障壁、⑤社会貢献といった5つの観点から、民泊ビジネスは極めて魅力的だという。

 

「民泊ビジネスはおおむね40〜50%と利益率が非常に高いうえ、為替差益も期待できます。たとえば宿泊費を150ドルで提示していた場合、為替レートが1ドル=100円だった頃は1泊15,000円の収入でしたが、1ドル=150円まで円安が進むと22,500円に増えるのです。

 

しかも訪日外国人旅行者は2023年の速報値が2,500万人であるのに対し、国が掲げている2030年の目標値は6,000万人。今後6年間で約2.4倍に伸びる国内産業は希少です」

 

上記の③についても、投資額を抑えたうえで運営を自動化できれば、安定的な利益を期待できる。④に関しては、「民泊新法」でルールがきちんと定められていることもあり、アパート・マンション投資と比較しても競合が少なく、増えにくいという。

 

村澤さんは補足する。

 

「宿泊施設の数が減少傾向を続けていますが、宿泊施設の数の回復というのは簡単ではないです。

 

なぜならば、新たな施設は土地の取得にプランニング、建設といったプロセスを経るため、実際に運営に至るまでには3年から5年といった歳月を要することになります。

 

その点、機動的に供給を拡大できる民泊はインバウンドの格好の受け皿となります」

 

残る⑤に関しては、インバウンドのニーズにしっかりと応えて宿泊客から喜ばれ、観光立国という国策にも貢献できることが挙げられる。

 

ただ、これら5つのメリットを存分に発揮させるうえで、重要なカギを握っているのが投資額の抑制と運営の自動化だろう。

メリットを享受できる「自動化データ民泊システム」

村澤さんがこれまでに蓄積した経験やノウハウをもとに独自開発した「自動化データ民泊システム」こそ、5つのメリットを享受することを前提にしたスキームになっている。

 

まず投資額の抑制については、賃貸物件を借りて民泊として利用するというのが基本的なプランになっている(希望に応じて、物件を購入してオーナーとなることも可能)。

 

「ローンを組む必要もなく、賃貸物件を借りるための資金だけで始められるので、さっそく1年目から出資額を超える利益を期待できます。

 

現に、この仕組みで運用開始後3~4ヶ月程度で旅館物件を3物件運用開始し、月額100万円を超える利益を残している方もいます

 

運営代行業者の場合、収益に所定の料率を乗じた手数料を徴収するというパターンが一般的だが、「自動化データ民泊システム」では一定額(固定費)に設定されている。したがって、手数料負担が限定的で稼働率が高まれば高まるほど儲けが増えていくので、40〜50%の営業利益が期待できるというのだ。

 

また民泊は物件選定から運用まで様々な法令や運用のハードルのがあるが、物件紹介、自動メッセージ対応、清掃、各種申請、不動産仲介などの対応をグループ会社含めて一貫して完結することができる。

 

「夜間に宿泊者が騒いだり、ゴミを散乱させたりして近隣から苦情が出るなどのトラブルを懸念する方々もいらっしゃいますが、実は意外とそういったクレームは発生しません。

 

これまで私自身の運営物件でも、大きなトラブルは数千組泊めているなかで数件程度なので、確率的には0.1%程度という感触です」

 

物件への集客は、Airbnbをはじめとする世界的なプラットフォームを通じて展開。イン

バウンドに選ばれやすい物件を選ぶという最も重要なポイントについても、万全のフォロー体制が整っている。

(写真)Adventierraの民泊が入っている賃貸マンション

 

優良物件のみを抽出し、エリア・物件選定のノウハウも伝授

「当社では、優良物件のみを抽出する手法を確立しています。

 

 当社の会員は、通常物件の取り合いになってなかなかスタートが切れない民泊も数ヵ月で4物件ほど立ち上げ、月間利益ベースで100万円を達成している人も多数います。

 

オンライン上にて毎週開催しているグループコンサルでは、エリアや物件の選定におけるノウハウ、最新のマーケット情報などを提供するとともに、個別の質問にも回答しています。

 

また、解説動画コンテンツも提供していますし、自分自身で有望なエリアを調べたり、人気化している物件をベンチマークに定めたりしたい場合は、グローバルに網羅している海外のデータベースを時間単位で利用できます」

 

(写真)村澤秀明代表
 

運営代行業者の場合、入会金やその他の費用を合わせると初期費用が700万円ほど必要なことも多く、しかも運営代行業者は運営代行手数料も毎月売上の20〜30%といったコスト負担が珍しくない。

 

一方のAdventierraの自動化データ民泊システムは同等物件を立ち上げる場合もたった200万円の初期費用と大幅にコストダウンし、しかも借入なしで事業を始められるメリットがある。月額の運用にかかるフィーも固定の価格になっており、運用代行のように売上が増えれば経費も増えていくという仕組みではないため、利益が出れば出るほど収益に結び付けることが可能だ。

 

通常のアパート・マンション投資と同じく、諸経費の分だけ課税所得を減らせるという節税効果も得られることは言うまでもない。そして万が一、コロナ禍の再来のような最悪のシナリオが現実となっても、居住用の賃貸物件として国内在住者に貸し出すことも可能だ。最近ハードルが上がっている一棟での不動産投資と比べ、数百万円からの初期投資を抑えることができるので、大きなリスクを背負うことなく、新しい事業にトライできるのも好材料といえるだろう。

 

都内にあるAdventierraが手がける民泊物件

取材・文/大西洋平 撮影/尾崎三朗(人物、建物)
※本インタビューは、2024年11月13日に収録したものです。