マンション修繕費6400万円…時間がない
「決算が全然できていなくて、驚きました。管理費を払う世帯もあれば、ディベロッパーが入居時に交わした約束を守らなかったと言って、まったく払っていないお宅もあった。修繕積立金はほぼゼロです。どんぶり勘定で、やむを得ない修繕には管理組合がディベロッパーから借金して対応していましたが、その金額もあやふや。住民は未亡人や芸事の先生、彫刻家、会社員もいたけど営業マンで、ビジネスのマネジメントとは縁遠そうでした。仕方ない。自分の家なんだから自分でやるしかありませんよね」
大手コンピューター会社に勤務していた中津さんは、たまたまファシリティ・マネジメントの部署に移ったばかりでした。業務用不動産の土地、建物、設備を経営に最適な状態で保有し、運営、維持することが中津さんの仕事になっていました。公私ともに建物と向き合います。
中津さんは管理会社を財閥系不動産会社の子会社に変更し、修繕計画を立てるよう求めました。建物全体で緊急修理のアラームが鳴り響いているような状態です。一刻も早く大規模修繕をしなくてはならないのですが、あれもこれも一度にはできません。修繕や改修の優先順位をつけました。
1.給湯ボイラーの灯油からガスへの変更
2.浄化槽を撤去して下水道を設置
3.外壁の補修と屋上防水
費用は、締めて6400万円と見積もられます。中津さんは「各世帯が居住面積に応じて修繕費を負担しよう」と住民を説得して回ります。「払えない」という世帯には銀行融資の手配を持ちかけます。調整の末、全住民が費用負担に応じてくれました。
1985年に「1」と「2」を更新し、3年後に「3」を行います。こうして最初の山場、大規模修繕を乗り切りました。管理費は、駐車場料金を含めて1戸当たり年間32万6000円、修繕積立金は21万2000円と確定し、収支のバランスを取ります。
なかにはディベロッパーが入居時の約束を反故にしたと主張して管理費を払わない住民もいました。説得にも応じません。中津さんは裁判所に住戸の「差し押さえ仮処分」の申請を行います。申請が認められ、住戸を差し押さえる寸前、その住民は管理費の支払いに応じました。
徐々に劣化した設備が更新され、維持管理の体制が立て直されると、マンションの雰囲気はがらりと変わります。住民どうしの交流が活発になり、共同体の一体感が生まれました。建物のハードと、コミュニティのソフトは「不離一体」です。マンションに秘められていた価値が見直されてきました。
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