管理組合の理事長が「積立金」を横領…マンションが迎えた末路

住民の高齢化と建物の老朽化という「二つの老い」がマンションを直撃しています。そのなかで、空室がスラム化につながってしまった事例を、作家の山岡淳一郎氏の『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』(岩波新書)より一部を編集・抜粋して解説します。

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廃墟マンション解体の苦悩…行政もお手上げ?

二〇一九年二月一七日、京都新聞がショッキングな写真付きで「廃墟マンション」の状況を報じました。そのマンションは、滋賀県野洲市の野洲川橋の西側に建っています。築後四七年、鉄骨三階建て九室のマンションで一〇年ばかり前からすべて空室でした。京都新聞は、こう伝えます。

 

廃墟マンション(2019年2月17日,写真提供・京都新聞社)
廃墟マンション(2019年2月17日,写真提供・京都新聞社)

 

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昨年六月の大阪府北部地震で県道に面した南側の壁は全て崩れ落ち、鉄骨や部屋の中がむき出しの状態になった。三階廊下の柵や二階天井が崩落し、階段も腐食が進んだ様子が分かる。がれきが積み重なる場所から約三メートルの所には歩道があり、県道は乗用車やトラックが頻繁に通る。

 

近隣企業の通報で状態を把握した市は昨年八〜九月に二回、所有者への説明会を開いて危険性を伝え、自主解体を求めた。解体には所有者全員の同意が必要だが説明会に集まったのは九人中七人。残る二人は、実態がなく連絡が取れない法人名義の所有者と、呼び掛けに応じない個人の所有者という。所有者代表の片岡昭芳さん(七五)は「七人の中では一日も早く解体しなければと思っている。今は弁護士に所有者特定を頼みつつ、法定代理人を立てることも検討中」と話す

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誰も住まず、捨てられたマンションは、始末のつけにくい超粗大ごみと化していました。所有者七人は「解体したい」と願っています。ほかの一人は連絡が取れず、もう一人は呼びかけに応じません。

 

このような場合、住民が建物を解体、敷地を売却し、区分所有権を解消して管理組合活動に終止符を打つには、いくつかの方法があります。まず、民法二五一条の「共有物の変更」で全員が合意すれば建物を除去できます。しかし全員合意はハードルが高い。

 

そこで二〇一四年に改正・施行された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え法)」の適用も考えられます。同法では「耐震性不足」のマンションに限って全区分所有者および議決権の「五分の四」以上の賛成で建物を解体し、敷地を売却。区分所有権を解消できる、と定められています。

 

議決権は原則として各区分所有者の専有部分(住戸)の面積割合で決まります。一般に管理規約で一住戸一議決権としているところが多く、一人のオーナーが五戸所有していれば、五議決権を持ちます。

 

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ノンフィクション作家
東京富士大学客員教授

1959年愛媛県松山市生まれ。出版関連会社、ライター集団を経てノンフィクション作家となる。
「人と時代」「21世紀の公と私」を共通テーマとして、政治、経済、建築、医療、近現代史、エネルギーなど分野を超えて旺盛に執筆。
ドキュメンタリー番組のコメンテーター、様々な団体やNPOなどに招かれての講演活動も展開。月刊誌『世界』(岩波書店)に「コロナ戦記」連載中。ネットのニュース解説メディア、デモクラシータイムス同人。

著者紹介

連載生きのびるマンション~「二つの老い」をこえて

生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて

生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて

山岡 淳一郎

岩波書店

建物の欠陥、修繕積立金をめぐるトラブル、維持管理ノウハウのないタワマン……。さまざまな課題がとりまくなか、住民の高齢化と建物の老朽化という「二つの老い」がマンションを直撃している。廃墟化したマンションが出現する…

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