廃墟マンションの解体費用は恐ろしい金額に…
おそらく野洲市のマンションでも同法の枠組みを考えたでしょう。しかし、全九戸の五分の四は「七.二戸」です。七戸が解体に賛同しても、八割のラインをこえるには、あと一戸の同意が必要です。そっぽを向く人を説得するしかないのですが、暗礁に乗り上げています。数字にすれば「〇.二戸」の壁に阻まれて要件を満たせません。
もう一つの対処法は、一五年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家法)」の活用です。野洲市も、一八年九月、空き家法に基づいて廃墟マンションを倒壊等周辺に悪影響を及ぼすおそれのある「特定空き家」に認定しています。所有者に除去命令を出して応じない場合は「行政代執行」で解体できます。
野洲市は、廃墟マンションの解体、除去の打合わせで請負業者と現場確認を三回行いました。が、難題が横たわっています。建物の除去費用の回収です。総務省の空き家法施行後二年の実態調査によると、行政代執行を実施したのは九自治体、一〇件。そのうち所有者から費用全額を回収できたのは、わずか一件です。
所有者不明の特定空き家の場合は、財産管理人が建物を除去する「略式代執行」が行われます。こちらは三〇自治体が三八件実施し、うち一三件が自治体の全額負担です。野洲市の住宅課は、京都新聞の取材に対し、
「行政代執行での取り壊しとなれば、業者への解体設計の依頼や議会の予算議決などに時間がかかり、解体は来年以降になる。所有者に費用請求しても、どこまで回収できるか」(二〇一九年二月一七日)と答えています。
「行政代執行」には「三〇〇〇〜四〇〇〇万円」の解体費がかかると躊躇していました。自治体の財政も苦しく、逡巡するのでしょうが、周辺住民からは、台風が襲来するたびに廃墟の壁や屋根が散乱して車が出せない、アスベストが飛び散るのにどうして取り壊せないのか、と激しい抗議の声が上がります。
京都新聞の第一報の翌日、山仲善彰野洲市長は、従来の方針を変更し、「臨時議会を招集してでも工事費を予算化し、市民の安全を守る観点から代執行の手続きを進める」と解体着手を表明しました。マンションのスラム化は、大都市圏でも起きています。
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