筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもの特徴や、実際の診断の様子を紹介します。

1カ月後、ようやく母親が登場。しかし…

中学2年生になった今もからかわれることが多く、保健室に避難しているそうです。その方が楽だということです。

 

Dさんの話を聞いていくと、道順をよく記憶していたり、音に対して敏感だったり、嫌なことには取り組まなかったり、興味の範囲が狭かったり、家族が自分のことをいろいろ話しているのではないかと常に気にしてしまったりと、自閉スペクトラム症の症状と思われるものがいくつか見つかりました。

 

挨拶もせず、一切喋らない場面緘(かん)黙という症状も自閉スペクトラム症に多く見られる併存障がいの一つです。外来で行った自律神経失調症のテストは陽性でした。過去のいじめの経過も合わせて考えると軽いうつ病も併存しているように思えます。

 

まとめると、軽いうつ病、場面緘黙、IQは普通であり、高機能自閉スペクトラム症を伴った自律神経失調症による不登校という診断結果が出ました。

 

1カ月経った頃、ようやく母親が一緒に来ました。表情は明らかに疲れきっていて覇気がありません。母親に娘さんがなぜマスクをしているのか尋ねたところ、外出時は他人に口元を見られたくないのでマスクをしていると落ち着くのだそうです。時々タオルで顔を隠すこともあると言います。これは対人恐怖の症状です。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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