筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもの特徴や、実際の診断の様子を紹介します。

Dさんに変化が?母親と一緒に診察室へ入ったら…

そして、夜中の3時に寝て11時に起きるというのも、遅寝遅起きの典型的な自律神経失調症のパターンです。もちろん、このままでいいわけがありません。焦らず自律神経失調症の薬を継続していきましょうと母親に伝えました。

 

4カ月経ってもあまり改善しなかったので抗うつ剤を追加してみました。すると表情が良くなり、少しですが喋れるようになってきました。相性の悪かった母親とも久しぶりに買い物に行けたようです。

 

その後、抗うつ剤を増量し、初診から半年経った頃には寝つきも良くなり、食欲も増進しました。初診から8カ月経った頃、なんと久しぶりに学校へ行きました。ただし初めは放課後に10分程度、学校に行くだけでしたが、その後、家庭科の授業にも出てミシンを使ったそうです。家では手伝いまでやれるようになりました。

 

そして翌月、今まで母親とDさんは別に相談していましたが、母親と一緒に診察室へ入り、母親の前で小声ですが喋ったのです。しかも私の目を見て喋りました。「自律神経失調症の薬と抗うつ剤の2種類で続けましょう」と今後の治療方針を母親に伝えた時には母親の目は赤くなっていたのをよく覚えています。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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