「セクハラ」「個人情報の無断収集」などに対し、アメリカで「集団訴訟」が発展していったワケ

「セクハラ」「個人情報の無断収集」などに対し、アメリカで「集団訴訟」が発展していったワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

「クラスアクション」(集団訴訟)について、NY州弁護士・秋山武夫氏が解説していきます。 ※ドル対円の換算率を便宜的に1ドル130円で計算しています。

一人で始められる「クラスアクション」(集団訴訟)

「クラスアクション」とは、一人、または何人かの人が、同じような被害に遭った全員(「クラス」と呼ばれます)の代表となって、訴訟を始めることができる制度です。 被害者各人の訴訟参加への意思表示は不要です。原告団を組織する必要もありません。

 

もし、被害者の中に訴訟に参加したくない人がいれば、その旨、積極的に意思表示すれば自由に外れることができます(オプト・アウトと言います)。

 

多くはクラスアクションより個人の訴訟の方がより多くの賠償金を得られると考える人たちです。そうでなければ自動的に原告団の一人に組み込まれ、判決で損害賠償が認められればクラスの全員が賠償の対象となります。

 

「クラスアクション」もまた英国でその原型があったとされていますが、近代になると当の英国では事実上用いられなくなり、米国でむしろ発展していきました。

 

当初は同じ事件で関係者がそれぞれ訴訟を起こすような多重訴訟を解消するため、複数の訴訟を併合して裁判を効率的に進めるために用いられましたが、やがて、一人または少数の人間の訴えにより「公益」が実現される面が注目されていきます。

 

現在は、消費者を対象とした価格カルテルや、被害者が多数に及ぶ公害、同じく多くの人を巻き込む大規模事故、広く行き渡っている製品の不良による被害、薬害、食品の健康被害などで効果を発揮しています。

 

米国のクラスアクションでは一人の代表者が同じような立場にあるもの全員を代表して訴訟を起こすことができます。他の構成員の同意は必要ありません。

 

たとえ各人の損害額が少額であっても、被害者が多数なら原告全体では多額の金額をうけとれることになり、その公益としての意義が認められております。

 

日本にも集団訴訟はあります。複数の被害者が原告となる点はクラスアクションと共通していますが、日本ではまず被害者を集め訴訟に参加するよう説得して原告団を組織組成しなければなりません。また訴訟を起こしても一人が受け取れる賠償がごく少額ならば、時間やコストをかけてまで原告団に加わろうという動機は働かないでしょう。

次ページ4420億円の賠償金も…「クラスアクション」と画期的な判決

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『司法の国際化と日本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

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