コーヒー公正な価格はどうやって決める?
2001年10月のコーヒー危機のとき、コーヒー価格は1ポンド42セントまで低下していました。その事実を果たしてどれだけの人が知っていたでしょうか。コーヒー生産者が貧困に苦しめられていたまさにそのときも、先進国の消費者は何も知らずにコーヒーを楽しんでいたのです。
コーヒー生産者が手にできる利益が極めて小さいことの問題は、生産者を貧困に陥れることだけではありません。生産者の収入が減れば、コーヒー栽培のための投資(肥料の購入や剪定の費用など)をする余裕がなくなります。
そうすれば当然、生産性はもちろん、コーヒーの品質も低下していくでしょう。品質の落ちたコーヒーに消費者は魅力を失い、そのうちコーヒーを飲まなくなってしまう可能性だってあります。
この状況が続けば、コーヒー産業は持続可能な産業とは言えなくなってしまいます。
経済活動を行う限り、利益を出すことはもちろん必要です。しかし、コーヒー農家を犠牲にしてまで利益を追求していては、コーヒー産業は衰退していく危険性があります。品質の良いコーヒーを、その品質に見合った適正な価格で生産者から購入し、その品質を理解した上で買ってもらえるようにすることが、コーヒー産業を地球レベルで持続可能にすることなのです。
2001年のコーヒー危機の後、価格が上昇した時期もありましたが、2018年頃から再び世界のコーヒー価格は下落し、2019年には1ポンド1ドル(アラビカ価格)を下回る水準にまで下がっています。ブラジルとベトナムのコーヒー増産は続いていますが、一方で消費量がそれ以上に増えているので、価格の下落の原因は供給過剰によるものではなさそうです。
だとしたら、今回の価格の下落の原因は何なのでしょうか。明らかな証拠が示されているわけではないので推測の域を超えませんが、投機資金が価格を操作し、引き下げている可能性を指摘する声は多くあがっています。
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