「コーヒー危機」で大損害を受けたブラジル人たち
しかし、2000年にはブラジルのコーヒー生産量が回復し、国際価格も元の水準にすっかり下がってしまいます。しかも、その頃にはすでに多くの新規参入国によって供給過多の状況に陥っていたせいで、2001年の10月にはこれまでにない水準にまで国際価格が下がってしまいました。
これが「コーヒー危機」です。そもそもコーヒー樹は、収穫できるようになるまでには、少なくとも3年の月日を要します。1997年の高騰に反応してコーヒー樹を植え始めたベトナムの人たちは、3年間の辛抱を経て、やっと期待していた利益を得られるはずが、逆に大きな損害を被る事態になってしまったのです。
しかもそれと同じことは新規にコーヒー栽培を始めた多くの開発途上国でも起こっています。投機資金が作り出した一時的な価格高騰は、世界中の多くのコーヒー生産者に誤ったシグナルを送り、結果的に大きな苦しみを与えることになってしまいました。
最近起こっているコーヒー価格の下落も、実は投機資金が仕掛けたものではないかという説があり、投機資金を排除する方法が模索され始めています。思えば1990年代、日本でバブル経済が崩壊したとき、経営不振に陥った企業を買収することで儲けようとしたハゲタカファンドが非難を浴びたことがありましたが、それも投機資金のやり方の一つです。
一部の人たちを切り捨てることでバブル崩壊の危機を乗り越えようというやり方は、日本の社会に大きな格差をもたらし、その傷跡は今も日本の社会に深刻な影を残しています。
人の不幸に付け込んで金儲けをすることは、SDGs※の10番目のゴール「人や国の不平等をなくそう」のターゲット5「世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、強化する」や、金融サービスを提供するという意味では12番目のゴール「つくる責任」にも反しています。
※SDGsは、持続可能な開発を可能にするための17のゴール、169個のターゲットで構成される国際目標
金儲けのためなら何でもするマネーゲームが実体経済を傷つけ、「脆弱な人々」を苦しめている現実に、私たちはしっかり目を向けなくてはいけません。
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