「たった1%」のコーヒーが生み出す悪循環
次に10グラム10円という値段について考えてみましょう。スーパーで売られている家庭用のコーヒー豆のうち、低価格のものは10グラム15円ほどで売られています。このコーヒー豆を使うなら、一杯330円の約4.5%になります。
品質が良い豆であれば、さらに高くなります。フェアトレードのオーガニック・コーヒーだと、10グラム当たり50円くらいで売られています。そのとき、一杯330円に対して15%になります。
つまり、「たった1%」ということの本当の意味は、質の悪いコーヒーや、サステイナブルでないコーヒー豆を使っているということなのです。コーヒー1杯の値段に占めるコーヒー豆のコストが1%である言われると、コーヒーショップが、遠く離れた生産国の生産者に圧力をかけて値段を下げさせていると勘違いする人もいるかもしれませんが、日本の企業がそんなことをできるところはありません。
そんなことができるのは、数多くの店舗を世界的に展開し、大量の生豆を生産国から直接買い付けするような巨大企業だけです。
「たった1%」が問題なのは、消費国が質の悪いコーヒーを飲まされているというだけでなく、低品質低価格のコーヒー豆に対する需要が高まると、それに応じて生産国でも低品質低価格のものを大量に作ろうとするようになるからです。
生産者は、高品質のコーヒーを作ろうというインセンティブを失い、品質が低下していきます。ブラジルやベトナムが輸出を伸ばしているのにはこのような背景があります。どんなに品質が悪くても、大量のミルク、砂糖、生クリーム、フレーバーなどを加えてしまえば、品質の悪さも覆い隠すことができます。
子どもたちは甘いものが好きですが、それは健康に良いとは思えません。そういう飲み物を提供する側にも子どもたちの健康を考えるという「つくる責任」(SDGsの12番目のゴール)があります。低品質のコーヒーが国際価格の低迷をもたらしていることに気付き、そのこのような状況を変えるために、コーヒーの品質を重視する動きが起こっています。
それが「スターバックス社」までの「セカンドウェーブ(第2の波)」に対して、「サードウェーブ(第3の波)」と呼ばれるものです。最近ではコーヒー専門店が増え、スペシャルティコーヒーが広く知られるようになってきました。
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