米金利、10年債利回りの90日MAからのかい離率はプラス40%程度といった具合に、依然として「上がり過ぎ」懸念の極めて強い状況が続いています(図表5参照)。これを見ると、米金利の短期的な上昇は限られ、むしろ「上がり過ぎ」の反動で低下する可能性もありそうです。
2日に発表された米国の3月雇用統計では、注目されたNFP(非農業部門雇用者数)が事前予想を大きく上回るポジティブ・サプライズとなりました。これを受けても米金利の上昇が限られるのであれば、いよいよ「上がり過ぎ」修正に伴う米金利の低下が本格化する可能性もあります。
以上のように見ると、米ドル/円が重要水準の111~112円の前で上昇一服となるか、それともさらにこの重要水準すらこのまま突破していくことになるのかは、米金利の動きがカギになるのではないでしょうか。
52週MAを長く、大きくブレークする米ドル/円
それにしても、先週も米ドル高・円安傾向が続いたことで、米ドル/円は足元106円程度の52週MAを6週連続といった具合に「長く」、そして5%近くといった具合に「大きく」上回りました(図表6参照)。経験的にこのような動きは一時的ではなく、継続的な上昇トレンドが展開中である可能性が高いのです。
かりに上述のように米金利低下に伴う米ドル/円反落ということになっても、それは基本的には上昇トレンドのなかでの一時的な動きの可能性が高いと考えるのが基本でしょう。
ちなみに、トレンドと逆行する一時的な動きは、経験的には52週MAを「長く」、「大きく」ブレークしない程度にとどまる可能性が高いといえます。米ドル/円の52週MAは足元で106円程度。ということは、米金利の「上がり過ぎ」修正に伴う低下などに連れる形で米ドル/円が反落に向かうとしても、それは106円前後までがせいぜいといった見通しになります。
重要水準の111~112円を前に、米ドル/円上昇も一服、反落に向かうのか、それとも重要水準を突破するのか、そのカギを握るのは空前の米金利「上がり過ぎ」の行方だといえるでしょう。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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