■顧客満足度のカギは損失前の家財リスト作成
モバイルアプリや保険会社提供のソフトウェアを利用して補償対象の家財リストを作成した割合は、2018年から+33%の増加を記録している。
顧客が損失前に家財リストを作成した場合、損失後に作成した場合よりも3.4日早く支払を受けており、総合満足度は、19ポイント高くなっている。インシュアテック会社が提供するゲーミフィケーション*1のように若い顧客にアピールでき、顧客のエンゲージメント向上に効果的と言えるだろう。
*1:ゲーム的要素を顧客との関係構築に利用する取り組み
■デジタル請求のプロセスにおける不備、顧客満足度に影響
顧客が一貫してデジタルツールで請求を完結した場合、総合満足度が向上し、支払までの時間が短縮されるが、完結できなかった場合、総合満足度は低下する。
具体的には、デジタル請求を試みて失敗した請求者の満足度は、デジタル・チャネルをまったく利用していない請求者と比較して著しく低くなっている。顧客体験がデジタルからオフラインに戻り、顧客が同じ結果を得るためにより多くの時間とエネルギーを費やすようになると、デジタル・チャネルへのプロセスは途切れる。
■デジタル請求がより一般的に
従来、複数の保険に加入している人や高齢の顧客は、保険に一つしか加入していない人やY世代、Z世代*2と比較して高い顧客満足度を示し、請求手続きのなかでより多くのKPI*3を経験する傾向が強い。
しかし2020年には、デジタル・チャネルを利用して保険金請求を行う顧客は、保険会社と複数の保険契約をしているかどうかに関わらず、安定した満足度スコアと達成されたKPIの数においてより均質な顧客体験を得ていた。さらに、Y世代、Z世代全体の満足度はオンラインとオフラインの両方で同様であるが、ベビーブーマー世代の満足度はオンラインでの請求では30ポイント近く低下する。
*2:J.D. パワーでは、1946年より前に生まれた人をプレブーマー世代、1946-1964年に生まれた人をベビーブーマー世代、1965-1976年に生まれた人をX世代、1977-1994年に生まれた人をY世代、1995-2004年に生まれた人をZ世代と定義している。Y世代のなかで、特に1982-1994年に生まれた人をミレニアル世代と定義している。
*3:顧客満足度に影響を与える実態項目
J.D. パワー インシュアランス・インテリジェンス部門シニアコンサルタント、ロバート・ライジアックのコメント「保険会社は長らく事故連絡の際にデジタル・チャネルを利用することや、請求時に必要書類作成する際にモバイルアプリやソフトウェアを利用することを顧客に強く勧めてきた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大前までの利用率は頑なに低いままであった。
ところが昨年、利用率は大幅に増加し、請求対応の迅速化といった直接的なメリットと、すべての顧客に対してより一貫性のある請求プロセスの提供といった副次的なメリットを生んだ。今重要なのは、デジタル・チャネルを利用した請求手続きに綻びを生じさせているいくつかの長引く問題に対処し、利便性の向上とベストプラクティスの遵守を継続的に行うことである。」
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