行政処分となった「相続不動産」売却金独占の兄に、弟が激怒

遺産の土地・建物や、共有状態となっている土地・建物の分割はトラブルに発展することが多いもの。話し合いで解決できなかった場合、裁判所の調停・審判・訴訟ではどのように判断されるのでしょうか。こすぎ法律事務所弁護士の北村亮典氏が解説します。

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遺産不動産の処分代金を支払わない長男…

親が亡くなり、子ども3人(長男、次男、三男)が相続人です。

 

親は遺産として不動産を所有していましたが、その不動産が遺産分割調停中に行政に収用されることとなりました。

 

そこで、とりあえずは長男が代表として収用の手続を行い、遺産不動産の処分代金が長男のもとに振り込まれました。

 

その代金について、次男と三男が、法定相続分の3分の1ずつを長男に払うよう求めたのですが、なぜか長男はこれを払ってきません。

 

遺産分割調停のなかでこの不動産の代金についても分割するよう求めたいと考えていますが、可能でしょうか。

 

料金の請求は可能なのか(画像はイメージです/PIXTA)
料金の請求は可能なのか(画像はイメージです/PIXTA)

遺産分割協議が成立する前に、不動産を処分する場合は

遺産分割協議が成立する前に、不動産を処分する必要がある場合、相続人間の協議の仕方としては、

 

・不動産の一部分割の合意をして不動産の代金だけ分けてしまう

・相続人全員で、不動産の売却代金については遺産分割の対象とする合意をした上で売却する

 

という方法で行われることが通常です。

 

しかし、上記のような合意をせずに、遺産分割協議中(もしくは調停中)に、不動産の売却処分だけを進めて、相続人の誰か一人がその代金を受領・所持しているという状態となった場合に、その「処分代金」を遺産分割協議・調停・審判の対象として分けることができるか、ということが法律上問題となります。

最高裁判所昭和54年2月22日判決

上記の点について判断したのが、最高裁判所昭和54年2月22日判決です。

 

この判例は、

 

「共有持分権を有する共同相続人全員によつて他に売却された右各土地は遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに、その売却代金は、これを一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情のない限り、相続財産には加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得すべきものである」

 

と判断しました。

 

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こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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