近年は、遺言書に対する世間的関心の高まりや、司法書士、弁護士等による宣伝広告活動により、専門家が関与して、公正証書遺言が作成されるというケースが多くなっています。「遺言の有効性」について争われた裁判で、「公正証書遺言が無効とみなされた東京地裁の判決」をみていきます。

遺言書作成後、裁判で無効と判断されることも…

遺言書を作成したとしても、遺言者が、その遺言の意味、内容を理解し、遺言の効果を判断するに足りる能力、すなわち「遺言能力」を有していなければ、のちにその遺言は裁判で無効と判断されます。

 

「認知症や重病で、知的能力・判断能力が著しく衰えている状態で、遺産の独り占めを企てて,他の兄弟が自分に有利な遺言を親に書かせようとした。」
「こんな遺言は有効なのか」

 

というご相談をお受けすることが多いですが、このような場合は、後に遺言無効確認訴訟で遺言の有効性が争われます。その際は「遺言能力」があったかどうかが中心的な争点となります。

専門家が関与して遺言書を作成するケースが増えている

近年は、遺言書に対する世間的関心の高まりや、司法書士、弁護士等による宣伝広告活動により、専門家が関与して、公正証書遺言が作成されるというケースが多くなっています。

司法書士、弁護士等の専門家が関与し、さらに公証人も関与して遺言が作成されれば、一般的には、

 

「専門家が、遺言者の遺言能力の有無なども確認した上で、遺言が作成されたであろう」

 

という印象が強いのは事実です。

 

しかし、診断記録、介護記録などから、客観的に認知症等の精神上の障害の存在が明らかな場合には、これら専門家が遺言の作成に関与していたとしても、遺言能力なしとして、公正証書遺言が裁判で無効とされるのです。

公正証書遺言が無効とみなされた東京地裁の判決

東京地裁平成20年11月13日判決のケースは、

 

1 遺言者の事前の依頼に基づき弁護士が遺言の案文をとりまとめ

2 遺言当日,弁護士2名が証人となり、公証人においても同じ文面の遺言書の案文を,一か条ずつ読みながら確認した

3 遺言者は各条文の読み聞かせに対し手を握って応じた

 

というケースですが、裁判所は以下の事実を認めて遺言を無効としました。

 

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