医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、予備校講師のゆがんだ実態について解説していきます。

二度質問しても理解させられないのはダメ講師

多くの講師は教え方マニュアルがないと教えることもできないと言いました。その証拠を出しましょう。以前、大手予備校の教科書を「どうしても」と頼まれて作成したことがありました。いざ納入すると、その数日後に教務課から電話があって、「答えが書かれた裏マニュアルがないのですが」と言うのです。「先生方が困っている」というわけです。

 

私は「え? 先生方は自分で解けるでしょう? お宅の予備校ではまさか解けない先生を雇っているのですか?」と聞いたのです。すると「いや、そんなことはないです」と答えるので、「そうですよね。普通の入試問題を組み合わせて作ったテキストなので、解答集はいらないでしょう」と言い、あり得ないと思って断ると、「それだとこの教科書も使えない」と言いだすのです。それが普通なのだとその時に知りました。

 

どこに行っても、この裏マニュアルというものが存在します。だから、決まりきった授業しかできないのです。違う質問には、答えられないといったことはしょっちゅうです。それでよく、あやふやな答え方をします。

 

ところがうれしいことに、生徒のほうは、その意味がよく分からないことを講師ではなく自分のせいにしてくれるのです。「あの先生、頭がいいから、僕みたいなバカには分からない」というわけです。それで未熟な講師は救われます。親も、先生が悪いとは思わず、自分の息子や娘が悪いと思うものです。

 

しかし、これは大きな間違いです。しっかりと勉強して、その問題、分野を理解している先生が語ることは実は誰が聞いても分かりやすいものなのです。あやふやな人間がごまかしながら説明するから、聞いていて分からないのです。

 

あるいはやたら専門用語を使って難しく答えます。これは、やはり分かっていないからごまかしているか、あるいは、分かってはいるけれど人に教えることに不向きな研究者タイプかのどちらかです。いずれにしても、生徒が分からないのは、ほとんどの場合は先生のせいなのです。

 

この問題には簡単な解決方法があります。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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