医学部受験専門予備校では、いろんなウラ話があります。推薦入試の問題を知っている生徒や、伝手がある講師など、医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が医学部受験に潜む闇について解説します。

子供の成績が伸びるメカニズム、心が強くなる教育法

・成績というものは、放物線を描いて上がっていくもの

 

あなたは本当に、自分のお子さんのことをしっかりと把握しているでしょうか?

 

そこから始めなくてはいけないのです。たとえお金があっても、お金で賢さは買えません。どんなにお金を積んでも、その金額に正比例して成績が上がるわけでもないでしょう。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

また多くの人は、成績というものはリニアで、つまりは直線的に右肩上がりで上がっていくものだと誤解しています。しかし、それは間違いです。子供たちの成績は[図表]のように放物線を描いて上がっていくものです。

 

[図表]
[図表]

 

大切なのは、急カーブで上がっていくまでの長い横ばいの期間、いわば下積み時代とでも呼べる期間だといわれます。それは具体的にどういう期間かといえば、教養を蓄え、地頭を磨く期間です。考える癖を身につけ、好奇心や向学心を醸成するのです。

 

一般に、先生が求める基本の知識量というものがあります。これはどの教科でも同じです。その量の9割を超さないとダメだと、皆、口をそろえて言います。5割や6割では成長は目に見えない。まだ低空飛行の状態です。

 

9割を超えて、ようやくテイクオフできるというわけです。その部分を蔑(ないがし)ろにして、急激な成果を望んでも、それは無理な話です。これは根気のいることです。ましてや受験まで時間がない時期にそのことを知らされたのであれば、じれるのも仕方がありません。

 

正直に言って、偏差値40以下の子供を、1年で医学部合格ラインまで引き上げることはほぼ不可能です。1年で合格できる生徒は裏を返せば、中学、高校時代にちゃんと勉強したことがある、つまりここでいう下積みをしてきた生徒ということになります。

 

そういう生徒たちは、受験時期の初めの偏差値は低くとも、もともと基本的な知識量があるので、偏差値40からでも上昇気流に乗れます。しかしそうでない子たちは、そこをサボってきたのですから、いくら頑張っても、その差を埋めるのは簡単ではないですし、それ以前に頑張る習慣がない子が多いので、1年では時間が足りないのです。

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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