坂野さんと弟は、叔父の話を改めて聞き、とても驚いた様子でした。
「叔父の話を聞いたら、なんだかやりきれない気持ちになってきました。なんで父親はこの状況を放置して、遺言書のひとつも用意していないのかと…。弟が病院を継ぐ話は、ずっと以前から決まっていたのに」
しかし、遺言書がない以上、坂野さん兄弟は会ったことのない姉と遺産分割協議を行わなければなりません。
被相続人:父親(医師・クリニック経営)、配偶者死別
相続人 :長男(医師・大学病院勤務、既婚)※相談者
:次男(医師・父親のクリニックに勤務、既婚)
:婚外子(女性・会社員、既婚)
相続財産:経営するクリニック、現預金約6,000万円
母親違いの姉から出た「意外な言葉」
父の財産の整理と評価をすませた坂野さんは、いよいよ面識のない姉との話し合いに着手することにしました。筆者は、できるだけ双方が感情的にならないようにと考えつつ、姉に当たる女性に事情を説明した文書を送付し、面会までの段取りをつけました。
坂野さんは、弟が継ぐことになるクリニックについて、遺産分割の問題で経営が危ぶまれてはと、ずっとそのことばかりを気にかけていました。
しかし、坂野さん兄弟が前のめりになって臨んだ遺産分割協議でしたが、姉に当たる女性は、1000万円の現金を受け取ることであっさりと引き下がり、坂野さん兄弟にとっては肩透かしともいえる結果となりました。
姉に当たる女性がいうには、現在は家庭にも仕事にも恵まれており、顔も知らない父親の財産を法定相続分通り受け取ることで、父親が苦労して築いてきたクリニックの経営を脅かすのは本意ではないとのことでした。
「子ども時代はあまり余裕のない生活だったのかもしれませんが、別に不便も不満もなく、楽しく過ごしていました。父親を怨んだこともないですね。その後は普通に結婚して、好きな仕事も続けて…。子どもたちも成人したので、あとは主人と楽しくゆっくり過ごそうかなと。今回は突然のお話で驚きましたけど、坂野さんが申し出てくださった父の遺産は、父からのプレゼントだと思って、ありがたく受け取ります」
年の離れた姉の、おっとりした鷹揚な様子は、坂野さん兄弟を気にかけてくれていた、父方の祖母とよく似ていたそうです。
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