被相続人が亡くなり、相続人が「婚外子の存在」に気付くケースは少なくありません。しかし、家族が婚外子の存在を知りつつも、当事者が相続対策を立てないまま亡くなってしまい、残された相続人がお手上げ状態になるケースもあります。分割が難しい資産しかない場合、相続人は対応に苦慮することになります。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

「婚外子」が絡む相続トラブルはよくある話

相続の際に婚外子が発覚するケースや、婚外子の存在が親族間で共有されていたとしても、被相続人が放置していたためにトラブルになるケースは、それほど珍しくありません。また、家族構成の複雑さや、不公平感といった感情的なしこりが原因となり、相続問題が泥沼化する事例もしばしば見受けられます。

 

父親が相続の準備を一切行っていなかった坂野さんのケースは、運よくうまく収まりましたが、状況だけ見れば、解決が困難なトラブルに発展する可能性もかなり高かったといえます。

 

今回、坂野さんは最初から腹を括り、遺産分割をすること前提で話し合いに臨みました。実際に分割すると、各自がどの程度の金額になるのかを明示したうえで、父親が経営していたクリニックをどうにかして弟に継がせたいという考えを、率直に話したのでした。それが相手に誠意として伝わり、奏功したのかもしれません。

 

「今回の相続では、姉があっさり納得してくれて、本当に助かりました。父の病院も無事に弟に継がせられます。しかし父とは〈だれが病院を継ぐか〉という話を、僕らが学生時代のころから繰り返ししてきたのに、こんな重大な問題を残したまま逝ってしまうとは…。まだまだ元気でいられると思っていたのでしょうが、問題の先送りはいけませんね」

 

坂野さんは安堵の表情を浮かべつつ、筆者の事務所をあとにしました。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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