ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。今回は、同社の「ジャパン特別レポート - オフィス利用に関するテナント意識調査2020 2021年2月」より一部抜粋し、18の調査データから「コロナ収束後のオフィスのあり方」について考察。そこから見えてきたのは、リモートワーク導入拡大も生産性低下という矛盾でした。

リモートワークの普及で「オフィス減床」意向が32%

今後のオフィス賃借面積の予定

働く場所が、自宅やフレキシブルオフィス等、従来型オフィスの外へと拡がるなかで、企業は今後のオフィスの使用面積についてどのように考えているのだろうか。出社率が抑えられており、リモートワーク普及による影響を最も強く受けると考えられる東京23区の賃貸ビルに入居する回答者を対象に、今後の増床・減床意向を集計した(Figure6)。

 


これによると、減床予定の回答者が32%と、増床予定の回答者の倍以上となった。「減床」の理由をみると、「リモートワーク等の新しい業務スタイルの導入」が58%と最も高い(Figure7)。リモートワークの導入が、オフィス床を減らす主因ということはいえそうだ。

 


ただし、「わからない」という回答者の割合も32%と高い。リモートワークを導入しつつも、今後のオフィススペースの最適解は未だ模索中という企業も多いことがうかがえる。

「オフィス稼働床面積」への影響は限定的

リモートワークがオフィスマーケットに与える影響

今後減床するという回答者の割合は32%を占めたが(Figure6)、これはあくまでも回答者の数に基づく割合である。従って、これがそのままオフィス需要の減少率を示しているわけではない。

 

そこで改めて、回答者のオフィス使用面積をもとに、リモートワーク普及によるオフィス稼働床面積へのインパクトを推計し、ウォーターフォールチャートで表した。ここでは、リモートワーク普及による影響がもっとも大きいと考えられる、東京23区を対象とする。

 

現在の稼働床面積を100とすると、今後オフィス需要は1.5%減少し、98.5となる結果となった(Figure8)。増減の内訳は、増床が+1.6%、減床が-3.1%。減床のうち、リモートワークを理由とする減床は-1.8%となった。

 

*2現在の賃借面積をもとに今後の増減割合について、「大幅増床」を+20%、「やや増床」を+10%、「やや減床」を-10%、「大幅減床」を-20%として推計。回答の3割を占めた「わからない」は、現状維持として集計
*2 現在の賃借面積をもとに今後の増減割合について、「大幅増床」を+20%、「やや増床」を+10%、「やや減床」を-10%、「大幅減床」を-20%として推計。回答の3割を占めた「わからない」は、現状維持として集計


大企業がオフィス床を半減させる等の事例が目立つものの、オフィスマーケット全体で見ると、リモートワーク普及によるインパクトは限定的と推計される。

 

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