ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。今回は、同社の「ジャパン特別レポート - オフィス利用に関するテナント意識調査2020 2021年2月」より一部抜粋し、18の調査データから「コロナ収束後のオフィスのあり方」について考察。そこから見えてきたのは、リモートワーク導入拡大も生産性低下という矛盾でした。

増床は「集中力強化」と「会話をする場の確保」のため

オフィス賃借面積の増減予定でみる新設拡張予定スペース

新設・拡張を予定しているスペースを見ると、「1人で」使用するスペースが高い割合を示している(Figure14)。Figure12でみたように、オフィスは自宅やフレキシブルオフィスよりも、「集中するための場」として相対的に適正度が低いと評価されている。これを是正しようとする目的が背景にあると考えられる。

 

 


また、増床予定の企業にみられる特徴として、同僚・グループと共同で業務をおこなったり、コミュニケーション・コラボレーションを取るためのスペースを増加させようとしていることが読み取れる。


企業は、まずオフィスの弱点を克服し、さらに従業員がオフィスに集まる意義をより明確化しようとしているとみられる。

「全部固定席」から「フリーアドレス」に転換へ

今後予定するワークプレイスの形態

では、オフィス内の執務スペースの形態はどう変化するのだろうか。

 

調査時点では「全部固定席」が全体の61%を占めているが、今後の予定では全体の27%に減少している(Figure15)。多くの企業が、よりフレキシブルなワークプレイスへの移行を志向しているようだ。

 

*5ABW型:アクティビティ・ベースド・ワーキング型。仕事内容に合わせて、最適な場所を働く人が自分で選ぶことができるワークプレイス。業務内容に合わせた多様なスペースを用意
*5 ABW型:アクティビティ・ベースド・ワーキング型。仕事内容に合わせて、最適な場所を働く人が自分で選ぶことができるワークプレイス。業務内容に合わせた多様なスペースを用意

 

コロナ禍を契機にリモートワークの導入が進み、オフィス内に在席するワーカー数は流動的になっている。全てが固定席のままではスペースを有効に活用しきれないという事情もあろう。

 

しかしこれは、コロナ禍による一過性の現象ではなく、中長期的な働き方の変化であることを前提に、企業がそのような変化をさらに促進しようとしていることを、この調査結果は物語っている。

 

 

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