ホームは規則正し生活リズムによる集団生活
快適な生活のための心得③
集団生活に慣れること
老人ホーム、とくに介護付き有料老人ホームでは、ホームが決めた予定に合わせて生活していく必要に迫られます。つまり集団生活です。起床時間は6時、朝食は8時、10時からお茶の時間、11時から入浴などなど。
とくに人の手を借りないと自分のことができない入居者は、この予定に自分を合わせる必要があります。自分一人の時間を有意義に過ごすことも重要ですが、この集団行動が苦にならないようにすることも重要です。
今まで自宅で好き勝手な生活をしてきた入居者は、なかなか規則正しい生活に慣れることはできません。さらに、性格がマイペースな入居者はこの集団行動の前で、おろおろしてしまいます。介護職員側の言い分を言わせてもらえば、決められた時間内で作業を完了させないと、次の作業に支障が出てしまいます。
さらに、認知症入居者の中には、予定どおりにイベントが実施されないと「不穏」といって、心が乱され落ち着きがなくなったり、問題行動を起こす人も少なくありません。
一例をあげれば、朝食は毎朝、朝8時と決まっている場合、8時を過ぎても食事の用意ができていない場合などは、食事を早く食べさせてほしいという訴えを介護職員側にしてきます。当然、遅れている理由をいくら説明しても、納得してもらえることはありません。そういうことがたびたび起こると、ホーム全体の運営にさしさわりがでてきます。
これらの理由から、老人ホームでは毎日規則正しい生活リズムによる集団生活となるのです。
快適な生活のための心得④
自立の高齢者は放置されていることを誇りに思うこと
多くの老人ホームの主役は要介護の高齢者です。中でも認知症の高齢者が老人ホームの主役です。
これは老人ホーム側と認知症高齢者側、正確にはその家族側と利害が一致しているからです。つまり、家族側は正直なところ、認知症の親の面倒を見ることは難しいので、老人ホームに入れたいと考え、ホーム側は介護保険報酬を収入源としているため、認知症高齢者は歓迎したい入居者ということになります。したがって、ホームに入居している大半は認知症の高齢者ということになります。
そのような老人ホームの中で、少数派ではありますが、「自立」の高齢者が存在します。「自立」とは、自分で身の回りのことができるという意味と、頭ははっきりしている、つまり身体は不自由だけれど認知症ではない、という意味のふたとおりがあります。