「入居者に寄り添う介護」とはどんなサービスか
理想ばかり言っているホームは疑う必要がある
多くのホームのパンフレットを見ると、「入居者に寄り添う介護」「入居者と共に……」的なキャッチが溢れています。
読者の皆さんに確認します。「入居者に寄り添う介護」とは、どのような介護のことを言うのでしょうか? 残念ですが、私にはそれをうまく説明をすることはできません。
「寄り添う」とは、一般的に言うと「そばによる」「ピタッと近寄る」という距離の話になります。要は、具体的に「身体を近づける」とか、心を「近づける」とかの話なのだと思います。そしてそれから推察すると、「あなたのためにホームが一丸となって考え、懸命に介護支援をさせていただきます」ということなのでしょう。
しかし、です。もし、ホームの「寄り添う介護」がそのような解釈の話であれば、入居者は次のような確認をしなければならないはずです。
一つは、職員配置数は何人ですか?ということです。通常老人ホームの法的配置基準は3:1です。つまり、入居者3人に一人の職員を配置することになっています。入居者が60人の老人ホームの場合、職員配置数は常勤換算で20人配置されていれば問題はありません。常勤換算でということに注意が必要です。
いくら職員数が多くても、パートタイマーで毎日出勤しない職員は、常勤換算をした上で計算していくことに注意が必要です。端的に申し上げると、週3回しか出勤しない職員は、0.5人として計算されることになります。
私の経験上、3:1配置では、必要最低限のことしかできません。したがって、「寄り添う」という言葉の意味を正確にホーム側に確認しなければ、誤解を生む原因になるのは当然です。
もう一つは、介護職員に対する教育方針の確認です。介護職員の教育方針の確認とホーム運営規定などはリンクしているはずなので、ホーム運営方針や経営理念などの確認を通して、介護職員に対する教育方針も確認できます。この2つの確認をした上で、本当にこの態勢で「寄り添う介護」ができるのだろうか?と考えるべきなのです。