先週の米ドル/円は、103円半ば中心に小動きが続き、年明け以降大きく動いてきたユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルも、先週は方向感の乏しい小動きとなりました。為替相場全体に小動きが広がったような流れになっていますが、小動きの理由は三者三様です。そこで今回は、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、米ドル/円、ユーロ、豪ドル、それぞれの小動きの理由を確認しながら、「脱・小動き」の手掛かりを探っていきます。

 

一つは、米金利と相関性の高いISM製造業景況指数との関係などを参考にすると、米金利には低下より上昇リスクが高そうだということ(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]米実質長期金利とISM製造業景況指数 (2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

そして為替ポジションは大きくユーロ買い・米ドル売りに傾斜している可能性があるため、さらなる米ドル売りは限られ、米ドル買い戻しのポテンシャルが大きそうだということです(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

ユーロ/米ドルの脱・小動きの手掛かりは米金利ですが、基本的には米金利上昇が再開し、米ドル買い・ユーロ売りが再燃するかが焦点になるでしょう。

豪ドル/米ドル:コモディティー相場上昇終了がカギ

豪ドル/米ドルも、ユーロ/米ドルと同様に、年末年始に昨年来の高値を更新、一段高となりました。ただユーロ/米ドルとは異なり、豪ドル/米ドルはその後も高値圏での推移が続いています。

 

この動きをうまく説明できるのは、コモディティーの総合的なインデックスであるCRB指数です(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表6]豪ドル/米ドルとCRB指数 (2020年5月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

代表的な資源国通貨である豪ドルだけに、資源価格の影響の大きいCRB指数の上昇傾向が続いたことから、ユーロ/米ドルの反落にもかかわらず、高値圏での推移が続いた可能性があります。

 

そんなCRB指数も、先週は上昇一服感が目立ってきました。CRB指数が反落となるようなら、豪ドルも金利差にキャッチアップする形で反落に向かいそうです(図表7参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表7]豪ドル/米ドルと豪米金利差 (2019年7月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長

 

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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