
先週の米ドルは、対円では104円近辺での方向感の乏しい展開が続きましたが、対ユーロではほぼ一本調子での下落となりました。本記事では、その理由について考えてみたいと思います。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。
「1/18~1/24のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・先週米ドル/円は方向感乏しい展開だったが、ユーロ/米ドルはほぼ一本調子で下落。昨年3月のコロナ・ショックで発生した金利差とのかい離が是正され、米金利上昇へ素直に米ドル買いで反応しやすくなった可能性。

・コロナ・ショックで発生した金利差からかい離した高過ぎる米ドルの是正が、「リスクオンの米ドル売り」の本質で、それは終了した可能性がある。米ドルは「売られ過ぎ」懸念が強くなっているため、買い戻し材料に反応しやすくなる可能性にも要注目。
先週の「ユーロ/米ドル」は、1.21米ドル割れまで反落
先週の米ドル/円は、104円近辺での方向感の乏しい展開が続きました。こういったなかで、ユーロ/米ドルはほぼ一本調子での下落となりました。ユーロ/米ドルは、年末年始と上昇傾向が続き、1.23米ドル台を記録していましたが、先週は1.21米ドル割れまで反落しました。
このようなユーロ/米ドルの反落を、比較的うまく説明できたのは独米金利差です(図表1参照)。独米金利差は、先週の米金利上昇などにより、金利差ユーロ不利が拡大しました。そういったなかでのユーロ安・米ドル高は、分かりやすかったといえるでしょう。

ただ、独米金利差ユーロ不利の拡大は、先週急に目立ちはじめたわけではなく、じつは昨年10月ごろから続いた動きでした。ところが、ユーロ/米ドルは、上述のように年明けまではユーロ高・米ドル安傾向が続き、金利差とはむしろ反対の動きとなっていました。ではなぜ、ユーロ/米ドルはそれまでと異なり、ここに来て金利差の影響を受けるようになったのでしょうか。
ユーロ/米ドルと金利差の関係は、昨年3月のコロナ・ショック局面で大きくかい離しました(図表2参照)。

具体的には、金利差から大きくかい離したユーロ安・米ドル高となったのです。これは、コロナ・ショックという究極のパニックにおいて、基軸通貨・米ドル買いが殺到したためと考えられました。
その後の、株高に戻す動きが広がるなかでユーロ高・米ドル安が続いたのは、金利差で説明できない、高過ぎる米ドルの是正が原因だったといえそうです。
ところで、金利差との関係は、コロナ・ショック以前の状況へと戻った可能性があります。金利差から見て行き過ぎたユーロ安・米ドル高が是正される局面では、ユーロ/米ドルは金利差とは関係なく上昇傾向が続きましたが、金利差との関係が正常な状況に戻ったことから、金利差の影響を受けやすくなっているのです。