
先週の米ドル/円は、103円半ば中心に小動きが続き、年明け以降大きく動いてきたユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルも、先週は方向感の乏しい小動きとなりました。為替相場全体に小動きが広がったような流れになっていますが、小動きの理由は三者三様です。そこで今回は、FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、米ドル/円、ユーロ、豪ドル、それぞれの小動きの理由を確認しながら、「脱・小動き」の手掛かりを探っていきます。
「1/25~2/1のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・先週は、米ドル/円に加え、ユーロ、豪ドルも方向感を欠いた小動き。為替相場が全体的に小動きとなったが、「小動きの理由」はそれぞれ、三者三様か。
・脱小動きの手掛かり、米ドル/円は、昨年6月以降続くレンジ相場、足元なら102.3~104.4円のレンジ・ブレーク、ユーロは米金利上昇再燃、豪ドルはコモディティー相場上昇終了が鍵か。

米ドル/円:昨年から続くレンジ相場のブレークがカギ
米ドル/円は、昨年6月頃から、90日MA(移動平均線)を上限、それを2%下回った水準を下限としたレンジを上下動する展開が続いてきました(図表1参照)。その意味では、「小動きの理由」は、まさにこの2%といった狭いレンジ内での値動きが続いているということであり、脱・小動きの手掛かりは、このレンジのブレークということになるでしょう。

ちなみに、足元の90日MAは104.4円程度で、それを2%下回った水準は102.3円程度。ということは、102.3~104.4円のレンジ内での推移にとどまっている限りは小動きが続き、レンジをブレークした方向に脱・小動きで、当面大きく動く可能性が出てくるのではないでしょうか。
ユーロ/米ドル:米金利上昇再燃がカギ
ユーロ/米ドルは年末年始に昨年来の高値を更新、1.23米ドル台まで一段高となりましたが、その後は一転1.21米ドル割れへ反落となりました。そして先週は1.21米ドル中心に底固い展開となりました。
このような最近のユーロ/米ドルの値動きは、昨年までと打って変わり、独米金利差との連動が目立っています(図表2参照)。

その意味では、年末年始の一段高から、その後は一転ユーロ安・米ドル高となったのは、米金利の急騰を受けて独米金利差ユーロ劣位が拡大したためでしょう。ところが、先週にかけてはそんな米金利急騰も一服したことから、ユーロ安・米ドル高も足踏みになったのです(図表3参照)。

よって、ユーロ/米ドルの先週の「小動きの理由」は、米金利が小動きになったことだといえるでしょう。
ただし、米金利が低下し、年末年始のように、ユーロ高・米ドル安方向へ大きく動くことがあるかといえば、その方向の可能性は基本的には低いと考えられます。理由はおもに以下の2つです。