もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

特養は入居者の所得で利用料金が分かれている

いい機会なので、特養について少し詳しく触れておきましょう。

 

小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)
小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)

特養の場合、入居者が負担する利用料金は、4段階に分かれています。つまり、同じサービスを受けるにもかかわらず、その人の属性によって負担する利用料金が違うということになります。その属性は、入居者の所得で判断されます。低所得者はより安く、そうでない入居者は既定の定価料金を。これが特養の料金体系でした。

 

よく、特養は「安い」と思っている人がいます。私の周囲にも、「うちのおばあちゃんは特養に月額3万円で入居している」などと言っている人がいましたが、正確には、特養は安いのではなく、属性によって安く入居することが可能である、ということなのです。

 

さらに、以前は非常に面白い現象が多くの特養で散見されました。

 

読者の皆さんは、特養に入居している入居者は女性と男性、どちらが多いと思われていますか。以前は圧倒的に女性が多く入居していました。女性のほうが長生きだから当然だ、なんて言わないでください。特養に女性入居者が多かった理由は、所得を低く抑えることが可能だったからです。

 

制度改正があり、今では難しいのですが、その昔は世帯分離という制度がありました。高齢夫婦の場合、世帯を分けて一人単位にした場合、長年、仕事をしてきた男性は厚生年金などの収入があるので、一定の所得があるとみなされます。しかし、女性の場合、専業主婦だったケースが多く、一人単位になると受け取れる年金額は少額になります。だから、一人単位になって属性を低所得者に変更した上で特養に入居すると、安く入れるという現象が起きていました。

 

私の承知しているところでは、特養の担当者が入居相談時に、この世帯分離を入居希望の高齢夫婦に提案し勧めていた、と記憶しています。それくらい一般的に利用していた制度になります。当然ですが、男性は民間の有料老人ホームに入居するケースが多いということになります。

 

次ページ超高級老人ホームと見間違える特養が存在する

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