もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

サ高住の犯した過ちとはどのようなことか?

多くの人は、サ高住の「サービス付き」を介護サービスだと考え、まったく疑ってはいません。しかし、サ高住の「サービス付き」は、介護サービスに限定されるものではありません。介護職員ではなく、生活相談員の配置をサ高住に義務づけていることからも、このことを伺い知ることができます。

 

何度も申し上げるように、介護付き有料老人ホームの代替品として間違った認識で発展させてしまった今のサ高住の多くは、介護施設になってしまっています。中でも、重篤な介護状態の高齢者を好んで集めて運営しているサ高住も少なくありません。

 

このようなスキームのサ高住は、次のような運営を実践しています。要介護高齢者を入居させ、建物内に併設、または近隣に開設した訪問介護事業所から介護保険収入を目的に訪問介護サービスを行い、介護報酬を獲得していきます。

 

重篤な介護状態の高齢者を集めて運営しているサ高住も少なくないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
重篤な介護状態の高齢者を集めて運営しているサ高住も少なくないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この方法の何が間違っているというのでしょうか。少し、専門的な話になってしまいますが、業務に従事している多くのスタッフは、この問題で実は悩んでいるケースが多いのです。

 

まず、介護保険を利用する仕組みについて、少し記しておくことにしましょう。介護保険の使用するには、ケアマネジャーが作成するケアプランが必要です。さらに、要介護度に応じて毎月使用可能な介護保険サービスの量が決まっています。これらのことを業界関係者は「区分限度額」と呼んでいます。

 

そして、この区分限度額を上限として毎月ケアマネジャーがその人に必要な介護保険サービスを提案し、本人や家族が承諾すればケアプランに基づく介護保険サービスが介護事業者から提供されるという仕組みなのです。

 

ここまでは理解できたでしょうか。平たく言うと、要介護度に応じて毎月利用できる介護保険サービスの量には上限が存在し、さらに、介護保険サービスを利用するには、適正なケアプランが必要だということです。

 

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親を老人ホームに入れようと思った時に読む本

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