「ふるさと納税」で地方に金と高齢者が移動する?
老人ホームへの入居は地方が最適。地方と都会でこれだけ違う
私はかねてから、自身のセミナーや講演会などでは「ふるさと納税」で地方に金と高齢者が移動すると主張しています。もちろんこじつけもあるのですが、理論上、あながち間違ってはいないと思っています。さらに言うと、老人ホームは事業者も入居者も地方のほうが快適であるとも考えています。
介護保険制度とは全国一律の制度です。東京の制度は、北海道や沖縄も同じです。多少の違いは、「物価」を考慮した事業者が受け取る介護保険報酬額の差だけではないでしょうか。つまり、地方のほうが少し低い報酬額に設定されているのです。
さらに老人ホームに限った話で考えた場合、次のようなことがあります。老人ホームの料金決定に影響する要素の多くは建設コストです。建設コストとは、大きく分けると土地代と建物代に分かれます。当然ですが、土地代は東京の銀座と地方の小都市と比較した場合、数十倍、数百倍の違いがあります。建物代も最低賃金などの違いがあるので、地方のほうが安く建てることができるはずです。例外的に、極寒地方では、サッシの二重化や床暖房、融雪装置の常設などで設備費が多くかかることもあるとは思いますが……。
つまり、地方の老人ホームのほうが、同じサービスを受けるのであれば割安になるということになります。ざっくりとした話にはなりますが、東京23区内と地方の小都市(県庁所在地以外の都市)とで比べた場合、20平米程度の居室面積の老人ホームの場合、東京23区内では、少なくとも20万円程度の月額料金は覚悟しなければなりませんが、地方であれば10万円程度の老人ホームを探すことも可能です。
さらに、入居金という入居時に支払うまとまった費用も、都内では数百万円は当たり前ですが、地方では0円、もしくは敷金のように月額賃料の2カ月分程度といったケースがほとんどです。ちなみに、前記した介護報酬額が地方のほうが安いということは、入居者が負担する1割から2割までの自己負担額も安くなることを意味しています。つまり、同じ水準のサービスを受けるということであれば、地方のほうが、費用が安いということになります。