経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

借金が少なければ破綻リスクは軽減される

借金は最強の味方にもなり、最強の敵にもなる

 

区分マンション投資の問題は、アパート、一棟マンション同様、自己資金ゼロで始めることにあるのだ。特に融資環境が厳しいときは、アパートや一棟マンションの場合、自己資金ゼロで購入することは難しいため、ある意味歯止めが利く。

 

しかし、区分マンション投資は融資が厳しい時代でも、サラリーマンとしての年収が安定していれば、審査は通りやすい。最近では、自己資金なしで45年ローンの商品なども出てきた。39歳までは45年でローンが組めて団体信用生命保険付きだ。ローン期間が長ければ、月々の返済額が減るため、より返済しやすいということなのだろうが、45年後の完済時には当人は84歳となる。区分マンション投資の目的は、自身の年金代わりというより、もはや相続対策かといった状況となる。

 

区分マンションを自己資金なしで購入しても、ローン完済まで持ち続けることができず、最後は損切り覚悟で売却する人は少なくない。某区分マンション投資販売会社大手では、管理戸数がほとんど増えないと聞いたことがある。その理由は、オーナーが売却するからだという。もちろん、よほど安い物件だったり、立地が良く、不動産相場の上下する波の上のところで売却するのであれば、マイナスにならない可能性もあるが、そんなケースはほんの一握りだろう。大体不動産の景気の波は15年周期といわれているが、この15年間持ち続けられるかといえば、そう簡単なことではないだろう。

 

私の身近な人にも、最近中古区分マンションを購入した人がいる。もともと投資に関心がある人で、株式投資もしている人だ。諸費用のみ自己資金で、購入費用はフルローン、投資対象は、都心の一等立地に立つ築30年超えのマンションだ。「都心の好立地であれば資産価値は下がらない」という触れ込みで購入を決意したという。

 

購入費用は2000万円ほどで、融資は信販系金融機関から金利2%ほどで受けた。その人の話ぶりから、自己資金をつぎ込んでいないため、2000万円の借り入れをしている感覚が薄いと感じた。もちろん、その人に限らず、近年、自己資金ゼロで不動産を購入し、窮地に立たされたという人たちに何人か会ったが、借金額の重みをあまり感じていないように見えた。自己資金ゼロ投資には、こうした借金の不安を消す「マジック」がある。

 

「かぼちゃの馬車」オーナー50人ほどの相談を受けたというファイナンシャルプランナーは、相談者の8割がすでに賃貸用不動産を所有、その6割ほどは自宅とは別に区分マンションを所有している人だったという。「相談者にはすでに賃貸不動産を所有しているのに、不動産のことを何も知らない人が多かった」と、そのファイナンシャルプランナーは話してくれた。

 

区分マンションだけでなく、もっと投資金額が大きいアパートやマンション一棟を購入するときは、なおさらその点を意識しないといけない。融資が引き締まって嘆く声を多く聞くが、本来買ってはいけない人、つまり不動産を買った後、明らかに苦労することがわかる人に融資をしないという点においては、ある意味セーフティーネットになって、良い状況ではないだろうか。

 

経営にはリスクが付きもの。借金が少なければ少ないほど、破綻リスクは軽減される。リスクを軽減する知識や経営者としての意識、さらにはリスクに打ち勝つ覚悟を持たずにチャレンジをすると、痛い目に遭う確率は高くなることを知っておくべきだろう。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

関連記事

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧