「物件は現金で購入」という大家さんの考え
家賃の値下げは、リフォームやリノベーションで食い止めることができるかもしれない。ただ、そもそもその費用はどこから捻出するのだろうか。家賃収入でプラスどころか常にマイナスであるのに、リフォームやリノベーションをするとなると、さらなる投資費用が必要になる。
誤解をしてほしくないが、区分マンション投資を否定するわけではない。むしろ、最初に賃貸経営するのであれば、まずは中古区分マンションから始めた方が無難だと本連載でも書いている。
ただし、最初は現金で購入することが重要だ。小規模の不動産を現金で購入し、賃貸経営のイロハのイをまず知る。もちろん区分マンションだけでは、アパートや一棟マンションの経営・管理とは異なるので、家主業のすべてを学ぶことができるわけではない。だが、入居者募集や不動産会社との関係の構築、入退去時の対応などは経験できるし、何よりも資産形成という点において、よほど利回りが低い不動産でなければプラスになる。
「物件は現金で購入」を原則とする家主たちに学ぶ
「あの時、不動産投資をしていなかったら、私たち親子はどうなっていたかしら」
2006年に不動産投資を始めたときのことを振り返るのは、埼玉県の黄金しょうこさんだ。不動産投資を始める5年前に、夫を不治の病が襲った。そのため、車を売却したり、預金を切り崩して生活する日々が続いていた。そんな状況を打破したのが、不動産投資だったという。
区分と戸建てを合わせて20戸ほどを所有する。しかも、全物件無借金だ。今は、戸建てを中心に投資している。アパートと違い、共用部の清掃は不要、売るときは投資家だけでなく実需の人も買うため、希望の価格でサッと売りやすいことが理由だという。「安い戸建てを現金で買って貸す。数年貸したら古くなりすぎて建て替えになる前に、つまり家が使えるうちに実需の人に売る。そんな感じでやっています」と話す。
黄金さんが購入するのは、自宅のある埼玉県川口市から1時間程度で移動可能なエリアで、購入価格は220万~500万円前後を目安とする。立地は、主婦目線で住みやすいかどうか。駅からの利便性よりも、スーパーや病院が近くにあるかといった点を重視しているという。土地は15坪程度の小さいもので、建売業者が手を付けないような広さをターゲットとしている。敷地が狭くても角地や日当たりが良い場所かどうかに着目。駐車場はないが、これまで購入した物件ではあまり影響がないという。建築面積で44~50㎡ほどの小ぶりな戸建てだ。