経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

賃貸需要の高い立地に無借金で長く貸せる

それでも、敷金1カ月礼金ゼロ、ペットは敷金2カ月となるが飼育可とし、入居条件を低く設定しているので、入居者は割とすぐに決まるという。

 

「利回りはあまり考えずに購入します。それでも価格が安いので、表面利回りで大体12%はいきますね。お金が500万円ほど貯まったら、また新規で購入するというスタンスです」と話す黄金さん。各物件の平均賃料は平均6万円で、毎月80万円強の手取り収入がある。

 

一方、区分マンションを現金で購入して、給与収入を得ながらコツコツと資産形成をしてきたのは芦沢晃さんだ。24年間かけて東京近郊に区分マンションを買い進め、現在57戸を所有している。当初こそ融資を引いて購入してきたが、3戸目からは現金で購入しており、現在は無借金で年間2800万円(管理費・修繕積立金控除後)の家賃収入がある。

 

「給料以外の収入があったおかげで、母の介護にもお金をかけることができた」と話す芦沢さん。今は、規模拡大にはこだわらず、現金を準備しておき、良い物件情報が入ったときのみ購入している。

 

大手電気メーカーでエンジニアとしてサラリーマンを定年の60歳まで続けてきた芦沢さんが、区分所有にこだわってきたのには理由がある。

 

区分マンションは建物の管理システムが付随して売買され、忙しいサラリーマンにとっては、専有部も自主管理、代行管理、サブリースと選択肢が広く、物件ごとに合った管理方法を選択できるため、都合がよかったのだ。

 

現金で買い進めてきたので、戸数を拡大するスピードは融資を引いて購入するよりも遅い。それでも芦沢さんが現金購入にこだわってきたのは、建物の減価償却残期間(実際の建物耐用年数より短い、銀行の融資年数基準)を気にせず、賃貸需要の高い立地に無借金で長く貸せる不動産を持つことができるからだという。

 

アパートや賃貸マンション一棟なら、共用部の修繕が発生した場合家主が全額を負担しなければならないが、区分投資なら共用部の修繕は所有者らとの折半だ。管理組合が保有する修繕積立金が十分に貯まっている物件は、その資金で建物共用部全体が長年修繕維持される。

 

ポイントは管理組合にどれだけ修繕積立金が確保されているか、購入前に調べておくことだろう。仮に区分マンション購入後すぐに屋上から雨漏りしたり、共用部のエレベーター、上下水道ポンプなどの設備が壊れてしまったりしたら、管理組合が修繕積立金をほとんど持ち合わせていなかった場合、所有者らが修繕積立金とは別に修理費を支払うか、修繕ができず建物が劣化し住めなくなるからだ。

 

修繕積立金の総額は、マンションごとにある「重要事項に係わる調査報告書」に記載されている。この「重要事項に係わる調査報告書」には、大規模修繕の過去の履歴や今後の計画、または、管理費・修繕積立金の今後の値上げ予定や滞納があればその金額なども記載されているので、購入する際には、修繕積立金について管理組合(建物管理会社)に必ず確認すべきだという。

 

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

ひと昔は、大家さんというと「不労所得が得られる」と言われた。現在は人口が減少し、空室は増え、入居者の層も多様化し、世の中が複雑化したことで、大家の経営の難易度は確実に上がっている。しかし、やり方さえ間違わなけれ…

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