在留外国人は増えているが…?「外国人雇用」の現状
女性活躍に続いて、外国人雇用が日本企業にとって十分な人材確保策として機能し得るか、データに基づいて確認していきましょう。
図表5は昭和60年(1985年)からの在留外国人数の推移を示したグラフであり、マクロ的には右肩上がりで数が伸びていることが見て取れます。
ただし、この約283万人(令和元年6月現在)の在留外国人全員が日本で仕事に就いている訳ではありません。平成30年(2018年)時点の外国人労働者数は、図表6の通り、約146万人です。
このうち、日本政府が積極的な受け入れを表明している「専門的・技術的分野の外国人」は約28万人に止まります。この28万人には、医療・介護・教育・企業内転勤などの労働者も含まれていますので、日本の一般企業が人材確保のために求めている職種に限定しますと、その数はかなり絞られることになります。
優秀な海外人材は「日本を選ばない」という現実
今後、日本の生産年齢人口は25年間で約1800万人減少していきます(【前回の記事】参照)。その数を外国人雇用によってカバーするのは、極めて厳しいと言わざるを得ません。
もちろん、今後の在留資格の緩和によって、外国人労働者の急増があり得なくもないでしょう。しかし、私はそれも期待薄だと考えています。なぜなら諸外国のホワイトカラーにとって、日本は働くのに魅力的な国ではないからです。
図表7は、スイスのビジネススクールであるIMDが調査した、国際労働市場における国別魅力ランキングです。日本は全世界で28位、アジア・オセアニアに限っても7位という結果です。外国人労働者にとって、日本はファーストチョイスになり得る国ではなさそうです。
一般的な日本人は、在留資格の要件を日本が緩和すれば、諸外国から大挙して移民が押し寄せてくるイメージを持つのではないでしょうか。しかし、日本が積極的に受け入れていきたい専門的・技術的分野の外国人に限って言えば、そういったイメージは幻想なのかもしれません。
石黒 太郎
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 組織人事戦略部長・プリンシパル
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