「死んだほうがマシ」新人勤務医の苦悩…癌患者に何を伝えた?

「手術が好き」ただそれだけだった…。新人外科医:山川が見た、壮絶な医療現場のリアル。※勤務医・月村易人氏の小説『孤独な子ドクター』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、連載していきます。

医師試験「大学別合格ランキング21」1位自治医科大、最下位は   【無料】メルマガ登録で見る

インフォームド・コンセント…患者家族との対面で

「今から明日の手術のICをするけど、病棟に来られる?」

 

1日の手術が終わって医局で一息ついていると、上の先生から電話がかかってきた。

 

「はい、すぐに向かいます」

 

その日の手術が終わると、翌日の手術のICをしなければいけない。

 

ICとは「インフォームド・コンセント」といって、日本語に訳すと「説明と同意」となる。平たくいえば、専門用語などをできるだけ使用せずに、患者さんに分かりやすい言葉で説明し、しっかり理解を得た上で手術の同意をもらうということである。

 

「じゃあ面談室に本人と家族を呼んできて」

「はい」

 

ICでは基本的に本人だけでなく、家族などの親族にも同席してもらう。

 

手術において合併症はつきものである。時に致命的な合併症をきたすこともある。手術前は元気だった患者さんが術中に亡くなることもあるのだ。合併症は手術のうまい下手にかかわらず一定の確率で起こるとされている。そのため、手術の必要性とリスクについて事前に十分に説明し理解してもらった上で同意を得る必要があるのだ。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

また、第三者にも同席してもらい、広くコンセンサスを得ることでトラブルを回避することができる。ICは患者さんのためだけでなく、僕たち医師を守るためのものでもあるのだ。

 

「これが腫瘍で大きさは2cm程度です。CTを見る限り明らかなリンパ節転移や遠隔転移は認められません。以上から術前診断はステージIのS状結腸癌です」

 

先生はモニターに内視鏡画像やCT画像を映しながら疾患について説明する。入院以前の外来で少しずつ説明がなされているため、疾患の説明については円滑に進むことが多い。

 

「ステージIなので、手術により根治切除が望めます」

「はい」

 

手術が必要であることもすでに理解した上で入院してきているため、ここも特に問題なく進む。

 

「しかし、手術で摘出した腫瘍とリンパ節を病理検査に提出した結果が確定診断となるので、ステージが変わる可能性もあります」

「どのような場合にステージが変わるのでしょうか?」

1991年生まれ。消化器外科医。趣味はプロ野球観戦だが、今は手術の修練や日々の予習・復習に追われており、久しく球場に足を運べていない。ほとんどの時間を仕事に捧げているが決してデキる外科医というわけではない。そんな不甲斐ない自分をいつも励ましてくれるのがもう一つの趣味である小説である。小説の中で頑張っている主人公に出会うと「僕ももう一度頑張ってみたい、頑張れる気がする」と思えてくる。僕もそんな魅力的な主人公を描いて、医師として人の命を、小説家として人の心を支える存在になりたい。

著者紹介

連載孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

月村 易人

幻冬舎メディアコンサルティング

現役外科医が描く、医療奮闘記。 「手術が好き」ただそれだけだった…。山川悠は、研修期間を終えて東国病院に勤めはじめた1年目の外科医。不慣れな手術室で一人動けず立ち尽くしたり、患者さんに舐められないようコミュニ…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧