老人ホームはアドベンチャーランド
介護は本当に世間から言われているようなきつい仕事か
介護は、皆さんが考えているようなきつい仕事なのでしょうか? 私の現場経験から申し上げるならば、介護をきつい仕事だと思ったことは一度もありません。むしろ、毎日遊んでいてお金がもらえる「ぼろい商売」だと思っていました。
介護業界のことをよくわからない人たちからすると、介護とは年がら年中「排泄介助」など汚い仕事をしていると思っているのではないでしょうか。たしかに排泄介助はありますが、一日を通して、始終排泄介助をしているわけではありません。むしろ、排泄介助以外の仕事のほうが多いくらいです。ちなみに、私の知る限り、介護職員が排泄介助など一般的に汚い仕事が嫌だと言って退職したケースにお目にかかったことはありません。唯一、このケースが成り立つ場合は、新人介護職員が入職して1週間程度の間で「ムリ」と言って辞めていくケースだけです。
私が介護職員だったころは、毎日が冒険の連続、老人ホームはアドベンチャーランドでした。さらに、人生の大学院でもありました。毎日毎日、さまざまな入居者が大なり小なり事件を起こし、その件で介護職員は一喜一憂します。
まったく余計なことばかりして、と言いながら、怒っているのかと思えば多くの介護職員は笑っています。
毎日毎日、泣いたり、笑ったり、怒ったりしながら、ときには、「認知症の高齢者なんてろくなもんじゃない」と愚痴ったり、「こんな状態になってまで、生きているもんじゃない。自分はこうなる前に早く死にたい」と思ったり、または、いつも認知症で周囲を困らせている爺さんが、隣に座る別の入居者のために、汚れていた椅子を拭いている姿を目撃したりすると、「人間って捨てたもんじゃないな」と考えさせられたりします。
こんな遊園地のような老人ホームの仕事の、どこが大変だというのでしょうか? 介護の仕事を大変な仕事だというのは、介護のことがわかっていない人たちのセリフだと思います。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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