老人ホームに医師は常駐ししていなが故に
看護師が強すぎる老人ホームは病院と同じになります。老人ホームが病院と同じであれば、当たり前の話ですが、老人ホームという存在は必要ないということになってしまいます。
看護師が強くなる理由とは
なぜ看護師がこのような行動に走ってしまうのかについても、説明しておかなければなりません。多くの看護師は、普通、病院など医療機関で勤務をしています。老人ホームに勤務している看護師のほとんどは、元医療機関で勤務していた看護師です。それではなぜ、看護師が老人ホームで勤務をするようになるのでしょうか?
一つは、年齢が上がって、病院でのハードな勤務に精神的にも肉体的にもついていけなくなった場合が考えられます。また、よく聞く話として、病院の場合は夜勤や準夜勤がありますが、子供やご主人の関係で夜勤ができない看護師などが老人ホームに転職してくるようです。
何も知らない看護師の多くは、おおむね老人ホームは病院とは違い、重症な高齢者はいないので、仕事自体は楽であると考えて転職してきます。ちなみに、この「楽」という考えは、肉体的というよりも精神的に楽であるという解釈のようです。
しかし、しばらくすると老人ホームの過酷さを思い知らされます。それはなぜか? 老人ホームには医師が常駐していません。医療連携契約において主治医は存在していますが、主治医は通常、自分の医療機関で診療をしており、老人ホームには常駐していないからです。
看護師は病院やクリニックでは、すべて医師の指示で動いています。そして、指示をされた行動は、遂次医師に報告し、次の指示を仰ぐという行動が染みついている人たちです。しかし、老人ホームにはその指示をくれる医師がいません。自分で考え、自分で決断し行動しなければならないのです。
医療行為の怖さや不確実さを知っている看護師にとって、医師の指示の下で行動をしている限り責任は自分に及びませんが、医師がいない中での処置は自分の責任になると考えています。この医師がいない、ということが看護師にとっては大きなストレスになっているのです。その結果、多くの看護師は「自分がしっかりしなければならない」と考え、周囲にいる介護職員に対し、ついつい厳しいことを求めてしまうのです。
看護師がホーム長に就任すると……
看護師出身のホーム長が運営しているホームの場合は、この傾向はさらに強く、ルールと指示と命令だけでホーム運営をしていくという傾向が強く出てしまいます。もちろん入居者にとっては、ある意味、安心安全なのですが、非常につまらないホーム生活を送ることになってしまいます。