老人ホームは立場の違う多職種が連携して仕事をする
実は難しい老人ホームの仕事
老人ホームの場合、立場の違う多職種が連携して仕事をしていかなければなりません。介護職員は介護業務を、看護師は看護業務を、生活相談員は入居者や家族との調整業務を、事務担当は事務業務を、給食担当は食事の支度をしながら、ホーム運営と本部本社との連絡調整業務をこなしていくのです。
それぞれの専門家が、自分の役割をはたしながら他の職種の職員と連携してホーム運営をしていかなければなりません。オーケストラにたとえるならば、指揮棒を振るうホーム長のもと、専門家である各担当者が、連携連帯して老人ホームという交響楽団で演奏していくイメージでしょうか。
私は音楽についてはまったくの素人ですが、オーケストラが交響曲を上手に演奏していくのには、各自の腕前がよいことは当然のこと、それ以上に重要なことは他の楽器奏者の奏でる音に各自が耳を傾け、自分の音の出し方を工夫していくことが必要だと思います。つまりは、相手のことを考えて自分がどうするのかを各自が考えていくことが重要だということです。自分さえうまく演奏ができればよい、という考えではオーケストラはうまくいかないはずです。そして、優秀なオーケストラ員は、言われなくても各自がこのことを理解し、実践しているのだと思います。
老人ホームの運営も、それと同じです。しかし、その実、現状はというと大変残念ですが、多くの老人ホームでは多職種の連携どころか、次に記すようなことがあちらこちらで起きているようです。
看護師が介護職員に対し圧を加えて支配してしまうホーム
老人ホームに入居している高齢者の多くは、当然ですが健康に大きな不安を抱えています。さらに、大きな持病や疾患を抱えている方も少なくありません。職員がうまく働くには一定の医療知識が必要になります。
しかし、多くの介護職員にはこの医療知識がありません。介護福祉士や介護支援専門員などは、介護職員として必要な資格は多々ありますが、そこで修得する医療知識は看護師資格と比べた場合、足元にも及びません。看護師の立場に立って介護職員を評価するのであれば、介護職員は医療分野ではまったくの素人であるということになります。