お金さえ払えば、介護の問題の多くは解決できる
すべての関係者が理解しなければならないこととは
すべての関係者が理解しなければならないこと、それはお金のことです。
相手にいくら支払っているのか? その相手はいくらもらっているのか? これをベースに考えないと正しい判断はできません。とくに昨今は、寝る間を惜しんで働いたりすると、すぐに「ブラック企業」というレッテルを貼られ、メディアの餌食になってしまいます。
多くの老人ホーム企業の理念や介護方針の中にも、「すべては入居者の安心のために」などという、考えようによっては奴隷のようなふるまいを介護職員に強要するかのような表現も見受けられます。もちろん、入居者を思って一生懸命働いてほしい、働きたいというホスピタリティの思想から生まれていることに疑う余地はありませんが。
あなたが自分と同じ思い、同じ温度で寄り添ってほしいと考え、それを強要しようとしている相手の介護職員は、いったいいくらの賃金をもらっている人なのでしょうか? 毎月100万円の賃金を貰っているのであれば、プロとして一定のレベルで仕事をしてもらうことを求めてもよいと思います。ただ、もし時間給900円しかもらっていなかったとするならば、それは求めすぎなのではないでしょうか。
私は常日ごろから、介護とは実はお金の話である、と言い続けています。お金さえあれば、介護にまつわる問題の多くは解決することができるのです。
少し違った視点から考えてみたいと思います。日本でも外国でも同じですが、本当の富裕層は老人ホームなどには入居はしません。死ぬまで自宅で対応します。海外の富裕層の中には、自分専用の老人ホームを建設してしまう強者も存在するほどです。
次に裕福な人たちは、「高級」と言われている老人ホームに入居します。「高級」と「普通」の老人ホームとの違いは、入居にかかる費用に顕著に表れます。首都圏の場合、高級老人ホームと言われるホームの入居金は3000万円以上、月額利用料金は30万円程度以上だと、私は定義しています。
そして、その費用の多くは多くの介護職員を配置するための費用です。つまり、入居者は一人の介護職員が担当する業務を減らし、その分入居者一人ひとりのことを考える余裕を捻出してもらうための対価を、高額な費用として負担していることになります。