経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

現金で土地を購入して新築する手法

約100戸の賃貸住宅を経営する滋賀県の西野浩樹さんは、土地と家賃の価格の歪みに着目し、現金で土地を購入して新築する手法で資産を増やしてきた。そのことに気づいたのは、2017年に脱サラするまで勤めていたスーパーで、社宅規定を作っていたからだった。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

そのスーパーは、近畿中部エリアを中心に約150店を展開し、社宅規定を見ると、地域によって同じ間取りでも家賃に差があったのだ。営業エリアで、家賃は高いが土地は安い地域を探したところ、富山県富山市の土地が目立って安い割に家賃が高いことに気づいたという。

 

富山市は隣県の石川県金沢市と比べて、平地が多く土地の値段が安い。金沢市は観光地として土地の値段が高い一方、平成バブルの時に賃貸マンションが大量に建築され過剰になり、家賃が安かった。富山市の30㎡の単身者向け新築アパートが4万〜5万円に対して、金沢市はRC造マンションでも安いところだと中古で3万円だったという。

 

富山市に目を付けた西野さんは、サラリーマン家主としては珍しく、2007年に購入した1棟目から新築を取得した。その利回りは11.8%。中古物件並みの収益性だ。土地は現金で、建物は融資を受けたが、返済方法は元金均等方式を採用。「この方法だと、減価償却額が建物の元金返済額を上回るデッドクロスが来ない。ただし、木造に限ります」と西野さんは話す。

 

土地の購入の仕方もひと工夫している。例えば一般的な土地ではなく、田んぼを買って、分筆(広い土地の登記を分けること)、造成をして建物を建てる。この手法はのちに本連載でも紹介する富山県の勉強会「サンデー毎日倶楽部」の主宰者、吉川英一さんから習った手法だという。

 

西野さんの場合は、将来売却することも視野に入れて、10戸未満の木造アパートにこだわってきた。富山市のような地方物件では、小規模なアパートの方が買い手が見つかりやすいからだという。「富山市以外にも全国を見渡せば、この方法が通用する場所はあると思う」と話す西野さん。今は自宅がある滋賀県でも所有物件を順調に増やしている。

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

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