いまや、年功序列や終身雇用に頼るのは「人生の賭け」
能力や成果が収入に反映されるかどうかは、特に若い人にとって重要な点になるだろうとも思います。そう思う理由は、成果などに焦点が当たることによって、会社に頼らず、自分の能力で稼ぐ力を磨こうという意識が高まるからです。自分を磨き、自分で自分を成長させるきっかけになるといっても良いでしょう。
どんな仕事でもある程度の苦労はするものです。大変な時があれば、難しい仕事もあります。そういう実態を踏まえて「大変なことはなるべく避けたい」「どうせ頑張っても若いうちは給料が上がらない」と割り切るのも一つの方法なのかもしれません。大した成果を出さなかったとしても、終身雇用の会社ならクビになることはないでしょうし、年功序列で給料もきっと上がっていきます。
ただ、それは非常にもったいないことです。使命感もなく、面白さも感じられない仕事に、何十年、何万時間という時間を費やすことになってしまいます。それなら、難しいことに取り組んだり、大きな成果を出したときに評価される業界に身をおいて、頑張ってみたほうが良いのではないでしょうか。
最初は収入アップが目当てかもしれませんが、どんな仕事でも熱心に取り組んでいくと面白さを感じるようになるものです。自分の成長も感じられるようになります。その充実感は「どうせ若いうちは」と努力を放棄している限り、永遠に感じられないでしょう。私はそれがもったいないことだと思うのです。
また、年功序列や終身雇用に頼るのは、人生の大きな賭けとも言えるでしょう。なぜなら、既に世の中で言われているように、年功序列や終身雇用は旧来型の働き方であり、将来的にはある程度成果主義での評価が普及していくだろうと考えられるからです。社会全体が成果主義に向かっていく流れの中で、勤め先の会社がある日突然、成果主義に方針転換することも十分に考えられます。
そうなった時、これまで努力してこなかった人はおそらく収入が減ります。少なくとも今までのように年齢だけで収入が上がることはなくなります。かつては、なんとなく勤めているだけでも50代で600万円くらいの収入になりました。しかし、年功序列というエスカレーターが止まれば、その先は自力で上っていかなければなりません。
そう考えれば、若いうちから報酬や収入に目を向け、自分を成長させていくことは、働き手である自分や、自分の人生を守ることにもつながります。収入は、自分の生活を豊かにするために重要なものですが、それだけではありません。
働きがいを生み、自分を成長させる力にもなります。収入が年齢ではなく成長と比例する制度なら、収入の額が自分の成長度合いをはかる目安にもなるでしょう。そのような点から見ても、ドライバーの報酬制度は優れている点が多く、これからの世の中の変化にマッチした制度なのだと思います。
やればやっただけ稼げる制度で、モチベーションアップ
ドライバーの収入についてもう少し細かく見てみましょう。
運送会社のドライバーの給料は、基本的には固定給と歩合給の二段階になっていることが多いと思います。歩合の仕組みや割合は会社によって違い、例えば、走行距離や運んだ荷物の量などで歩合給が付くこともありますし、長距離の場合、行き先によって特別手当が付くこともあります。
また、給料に関する方針も会社によって違います。固定給を厚くして月々の収入があまり変動しないように配慮している会社もありますし、歩合給の割合を増やして、頑張った人の待遇をよくしようと取り組んでいる会社もあります。
私の会社はどちらかというと後者のタイプで、なるべくドライバーが歩合給を取れるようにしようと取り組んでいます。理由は、頑張った人が正しく評価され、適正な報酬が得られるようにしたいと考えているからです。また、やればやっただけ稼げる制度にすることが、ドライバーのモチベーションを高めるきっかけになったり、新たなドライバーの獲得に結び付くのではないかとも考えています。
実際、他社から転職してきたドライバーの中には、私の会社の給料体系が良かったと話す人が多いといえます。やればやっただけ稼げる制度を生かして、入社初年で年収600万円稼いでいるドライバーもいますし、入社時は年収400万円ほどで、そこから数年で800万円まで増やしているドライバーもいます。
もちろん、仕事をする目的はお金だけではないでしょう。しかし、たくさん働いて、たくさん稼ぎたいと考えている人もいます。生活のため、家族のため、豊かな暮らしを実現するために、たくさん仕事ができる場所や、やった分だけ収入に反映される仕事を求めている人もいます。そういう人がしっかりと目標を達成できるのがドライバーの給料体系なのだと思います。