本記事では、トラックドライバーの給与額のモデルケースと、一般企業の会社員との給料システムの違いを見ていきます。

たくさん稼いでいるドライバーの共通点

では、どんなドライバーがたくさん稼いでいるのでしょうか。私の会社のドライバーを見ていると、稼いでいる人にはいくつかの共通点があるように感じます。

 

まずは当たり前のことですが、仕事熱心だということです。どんな仕事にも共通することですが、怠けていて稼げることはありません。楽して稼ぎたい人は、おそらく年功序列の風土が色濃い会社に勤めたほうが良く、ただし、近いうちにエスカレーターが止まるかもしれないという点は前述した通りです。

 

ただ、仕事熱心というのは、単に長時間働いたり、より多くのモノを運ぶという意味だけではありません。もちろん、それも収入に反映される要素ではあるのですが、しっかり稼いでいる人は、いろんな仕事を引き受けたり、そのためにドライバーとして成長することに貪欲で、あらゆることを吸収します。

 

例えば、30代で私の会社に入ったあるドライバーは、その時はまだフォークリフトの免許を持っていませんでした。しかし、ドライバーとして独り立ちするためには免許があったほうが有利です。実際、私の会社の場合、近・中・長距離を問わず、ほとんどの仕事でフォークリフトを操作する業務が必要になります。

 

そこで彼は、平日の業務が終わった後に本社の駐車場でフォークリフトの練習を始めました。また、土曜日も休み返上で出社し、練習に励んだのです。フォークリフトは、周りから見ていると簡単に動かしているように見えるかもしれませんが、実は慣れが必要です。お客様の大事な荷物を積み下ろししますし、少しバランスを崩すと荷物が倒れ、傷付けてしまいます。「なかなか上手くならないんです。ただ、早く戦力になりたいんです」そう言って、彼は自主練に励んでいました。

 

そのかいあって、間も無く無事に免許を取りましたし、今も第一線で活躍しています。それどころか、最近は取引先が主催して行っているフォークリフトのコンテストで優勝するまでになりました。そのような成果につながったのも、彼が仕事に熱心だったからでしょう。また、彼の先輩たちも熱心で、仕事後や土曜の練習に付き合い、操作を教えてあげていました。

 

ドライバーは1人ひとりが独立して働いていますが、だからといってお互いのことに興味がないわけではありません。目標を持って取り組んでいる人を本気で応援し、協力する。素直に学ぼうとしている人には全力で教える。そういう熱さを持つ集団でもあります。だからこそ、より高い技術を求めて切磋琢磨し、成長することができ、結果として稼ぐドライバーになることができるのです。

稼ぐドライバーには「明確な目的意識」がある

稼ぐドライバーは、目的意識が明確である点も共通しています。たくさん稼ぐというのも目的ではありますが、私の会社のドライバーを見ていると、ただ漠然と稼ぎたいと思っているのではなく、なんのために稼ぐかという目的をしっかり認識しています。

 

例えば、あるドライバーは、子供の学費を準備するという目的を持っています。若いときに結婚し、子供が生まれたため、家族を守るために稼ぐという目的を持って働いている人もいます。そういう話を、私は面接の時などに聞いたりするのですが、「なんのため」が明確な人ほど、入社後も熱心に働き、たくさん稼いでいる傾向があるように感じます。

 

おそらく、目的が明確で、絶対に成し遂げるという意志も強いからこそ、忙しい時期があっても乗り越えることができ、ドライバーとして成長したいという意欲も高まるのでしょう。

 

また、目的が明確になるほど、自分のスキルアップの計画も明確になります。そのための自己投資にも意欲的です。前述したフォークリフトのスキルアップに努力したドライバーもその1人ですが、他にも、例えば、入社後に大型免許やけん引の免許をとるドライバーもたくさんいます。

 

実際の現場では、4トントラックに乗れれば、取りあえずの仕事はこなせます。4トントラックに乗るためには中型免許などが必要ですが、最近のトラックはモニターなどの装備が充実していますので、昔に比べれば大分乗りこなしやすくなりました。後はコツコツ量をこなすことで、同年代や業界平均よりもたくさん稼ぐことができます。

 

しかし、稼ぐドライバーほど現状に満足しません。大型免許を取り、けん引免許を取る。乗れるトラックの幅を広げて、ドライバーとしての対応力を高める。そういう意識が高いとともに、自分がどこに向かい、何を成し遂げたいのかがはっきり見えているのです。

 

このような傾向は異業種においても同じなのだと思います。例えば、海外で働くために語学を学ぶ人もいますし、より大きな仕事を担当するためにマネジメントを学んだりする人もいます。

 

資格だけがスキルアップではありませんが、ドライバーの場合は資格によって乗れるトラックが制限されます。その点からみると、ドライバーはスキルアップの計画が立てやすく、免許というスキルによって収入も増えやすくなる分かりやすい仕事なのだと思います。

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稼ぐ! トラックドライバー

稼ぐ! トラックドライバー

鈴木 朝生

幻冬舎メディアコンサルティング

トラックドライバーというと、デコトラで疾走する“トラック野郎”をイメージする人がいるかもしれません。しかし実際、現代のトラックドライバーは、自立して活動する“物流のプロフェッショナル”です。 トラックドライバ…

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