今回は、トラックドライバーの給与額のモデルケースと、一般企業の会社員との給料システムの違いを見ていきます。※現代のトラックドライバーは、洗練された物流システムの中で、自立して活動するプロフェッショナルです。自分で考え、自分で判断し、自分の裁量で仕事をする。そして担うのは、日本経済を支える物流の根幹…。トラックドライバーは、自由に自分らしく働きながら世の中に貢献できる、数少ないビジネスの一つなのです。本連載では、知られざるトラックドライバーの最新事情を紹介します。

手に入るのは「働き方の自由」と「経済的な自由」

ここからは、ドライバーの収入について見てみましょう。まずはドライバーの給料の業界平均を見ると、企業規模や運転するトラックのサイズなどによって若干の差がありますが、平均額は月給31〜35万円くらいです。プラス、給料1カ月分くらいのボーナスがありますので、単純計算すると、年収で450万円くらいになります。

 

一方、一般企業はどうなっているかというと、平均を見ると、男性が33万円、女性が24万円くらいとなっています。その点ではあまり大きな差はありません。ただ、会社によって差はありますが、運送会社のドライバーの給料には歩合給がつくケースが多く、働いた分だけ給料に反映されます。

 

そのため、たくさん稼ぎたい人が、たくさん働くことによって、たくさん稼ぐことができ、一般的な会社員と比べて収入の伸びしろも大きくなっているのです。個人で事業をしている人や、フルコミッション(完全歩合制)で働いている営業の人たちなどを除けば、このような特徴を持った仕事は他にあまり見当たらないのではないでしょうか。

 

自分らしく働くことは大事ですが、現実問題として、収入がなければ苦労します。理想と夢だけでは食べられません。家族も困ってしまうでしょう。その点から見ると、ドライバーの仕事は、働き方の自由と経済的な自由を両立できる数少ない職種の一つなのだと思います。仕事があることと、たくさん働くという意気込みがあることが大前提ですが、ドライバーの中には、稼ぐことを目標としてトラック業界に入り、豊かな生活を実現している人たちが多いのです。

年功序列がなく、若くても能力次第で稼げる

ドライバーの給料体系についてもう一つ、特徴といえるのは、年齢と収入の関係です。一般的な企業の場合、給料や年齢や職歴の長さと比例して増えていくケースが多いと言えるでしょう。データを見ても、20代男性の給料は月21〜25万円前後、最も給料が多い50代で42万円前後となっています。

 

一方、ドライバーの給料は年齢との相関性が薄くなっています。例えば、大型トラックの男性ドライバーは、20代前半で平均30万円、40〜50代で36万円前後となっていて、変動幅が小さくなっています。

 

このような違いが出る理由は、運送業界やドライバーという仕事の特性として、一般企業よりも能力主義、成果主義の考えが強いためです。一般企業では、全体的な傾向として成果主義を取り入れるケースが増え、評価制度も成果や能力を踏まえる方向に動いています。

 

しかし、年代別の収入データを見て分かる通り、依然として年功序列の傾向が強いのが現実です。このような評価・報酬の仕組みは、能力がある人や、これから能力を伸ばそうと考えている人に不利に働くと私は思います。旧来の価値観に基づく年功序列型の報酬制度では、能力があっても、年齢が若ければ収入は増えません。成果を出しても、職歴が浅い、経験が少ないといったことがハンディになります。

 

結果として、能力がある人や、努力している人ほど不利益になります。改めて考えるまでもなく、これは制度としていびつでしょう。完全な実力主義が良いかどうかは分かりませんが、少なくとも「やったら、やった分だけ評価される」という視点を入れなければ、努力しよう、自分を磨こうと考える人は減ってしまいます。それは、個人だけでなく、会社にとってもマイナスだと思うのです。

 

しかし、ドライバーは能力や成果が収入に反映されます。自分の努力次第で、同年代の人たちよりも多く稼ぐ機会が得られます。仮に同年代の人よりも月々5万円多く稼ぐことができれば、年間で60万円、10年で600万円もの差がつきます。転職する際などに免許を取る費用がかかったとしても、数カ月で回収でき、そこから先はプラスです。

 

当然、免許という資格は残ります。技術も身に付きます。そう考えると、転身するための費用は自分への重要な投資と言い換えることもできるでしょう。

 

 

鈴木朝生

丸共通運株式会社 代表取締役

 

稼ぐ! トラックドライバー

稼ぐ! トラックドライバー

鈴木 朝生

幻冬舎メディアコンサルティング

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