「メンタルボロボロ」新人勤務医…手術中、先輩に放たれた一言

「手術が好き」ただそれだけだった…。新人外科医が見た、壮絶な医療現場のリアル。※勤務医・月村易人氏の小説『孤独な子ドクター』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、連載していきます。

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「これがここにあったら邪魔になるんだよ」

■手術室は戦場

ガウンに着替えるといよいよ手術が始まる。

 

「オイフ」

 

外科で使用するオイフは、手術する部分だけが露出するようにできている。手術で扱う部分は消毒しているため清潔であり、その周りをやはり清潔なオイフで覆うことで、手術に入る外科医および看護師は手術中にそれらに触れても不潔にならずに済む。こうして術野の汚染を予防する。

 

「ライトハンドル」

「電気メスのコード」

「吸引チューブ」

 

清潔な装備に注意を払ったら、今度は手術器具の配置である。手術をスムーズに進めるために、とても重要な作業だ。

 

今は「腹腔鏡手術」が主流である。電気メス、送水チューブ、吸引チューブ、カメラ、凝固切開装置、気腹チューブ……。腹腔鏡手術では使用する器具が多いため、手術がしやすいように器具を配置しなければならない。

 

「それは後」

「これがここにあったら邪魔になるんだよ」

 

僕も手伝おうとするが、なかなかうまくいかない。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「これはおれがやっているんだから別のことをやって」

 

とりあえず手伝おうとするが、結局邪魔になる。かといって、ほかに何をすべきか分からない。やはりここでも難民になってしまう。

 

「ぼーっと立っているだけだったら清潔になっている意味がないよ」

「はい、すみません」

 

そう言われても仕事が見つかるわけではなく、結局どうしていいか分からず、整っていく術野をただ黙って眺める。

 

(ああ、早く覚えないといけないな)

1991年生まれ。消化器外科医。趣味はプロ野球観戦だが、今は手術の修練や日々の予習・復習に追われており、久しく球場に足を運べていない。ほとんどの時間を仕事に捧げているが決してデキる外科医というわけではない。そんな不甲斐ない自分をいつも励ましてくれるのがもう一つの趣味である小説である。小説の中で頑張っている主人公に出会うと「僕ももう一度頑張ってみたい、頑張れる気がする」と思えてくる。僕もそんな魅力的な主人公を描いて、医師として人の命を、小説家として人の心を支える存在になりたい。

著者紹介

連載孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

月村 易人

幻冬舎メディアコンサルティング

現役外科医が描く、医療奮闘記。 「手術が好き」ただそれだけだった…。山川悠は、研修期間を終えて東国病院に勤めはじめた1年目の外科医。不慣れな手術室で一人動けず立ち尽くしたり、患者さんに舐められないようコミュニ…

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