人口減少の局面になり、厳しさが増す不動産投資。今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資には欠かせない要素である「人口」や「不動産取引の現状」などをもとに検討していきます。今回紹介するのは、京成電鉄京成本線23区内の駅です。

人口減少が推測されている要注意のエリアは?

■京成本線沿線の将来人口

不動産投資において、人口は重要なファクタですが、京成本線の今後は、どうなのでしょうか。2015年~2040年の人口増加率を500mメッシュで見ていきます*。

 

今後、東京において人口増のメインは都心といわれています。京成線沿線では都心に位置する「京成上野」「日暮里」付近は、特に高い人口増が推測され、「町屋」までは安定した人口増が見込まれています。しかし隅田川を渡り、大規模な再開発が行なわれた「千住大橋」南側で人口増が予測されているものの、ほかは人口減の青系色。以降の駅でも人口減が推測されています。

 

出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成
[図表9]京成本線都内12駅周辺の人口増加率 出所:地域経済分析システム(RESAS:リーサス)より作成

 

*青系0%以下(人口減少)、緑~5%増加、黄緑~10%、黄~15%、薄橙~20%、濃橙~25%、赤25%~

 

京成線沿線は、今後23区でも人口減が続くとされるエリアを走る路線です。この推測は、コロナ禍前になされたものなので、それ限りではありませんが、人口減は不動産投資においてマイナス事項。賃貸ニーズを見極めることはもちろん、今後の人の流れを注視することが必要です。

 

■まとめ

「上野」「日暮里」エリアから、東京・下町エリアを経て、成田方面へと延びる京成本線。家賃水準が低いエリアとしても知られているので、特にまだ給与水準の低い若年層を中心に支持が高い路線でもあります。

 

沿線通じてアパート・マンションの集積が進む路線ですが。特に隅田川以西の荒川区では顕著です。一方で、物件の集積が見られるエリアでは空家件数も高く、物件間の競争も激しくなっています。特に「京成高砂」駅周辺は空室の多いエリアで、注視する必要があるといえます

 

将来人口の予測では、都心から離れ「町屋」以降では人口減を示す青系色が優勢。不動産投資の点では不安要素です。また昨今、相次ぐ大雨や洪水の被害もあり、災害リスクへの関心が高まっています。その点、ゼロメートル地帯を走る京成本線沿線は洪水リスクが高いエリアであり、木造住宅が密集していることから、地震の際も特に火災が心配されています。

 

人口減の予測と災害リスクを回避するなら、より都心側、「町屋」よりも都心側のエリアを検討するのが無難といえます。一方で、沿線東部エリアも、リーズナブルな家賃水準によって賃貸ニーズは旺盛。リスクを許容できるかが鍵となります。

 

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