購入時空室率55%物件を満室にするテクニック
天野さんの1棟目の購入物件は、福岡市内の最寄り駅から徒歩20分ほどの場所にある間取りが1K全15戸のRC造マンション。購入時の空室率は55%だった。多くの人は、半数以上空いているこの状態を知ったら諦めるだろうが、天野さんは現地に足を運び、購入を決めたという。
このマンションがあるエリアは教育施設が多く集まる文教地区で、分譲マンションが多く、賃貸住宅は分譲マンションで賃貸用としている一部のファミリー向けと古いアパートくらいしかなかった。天野さんは、単身者向けの需要はあるのに、競合となる物件が周りにほとんどなかった点に着目した。空室率が高い理由を調べてみると、元の家主が相続で引き継いだ物件で、経営意欲があまりないことが現地で建物を見てわかったという。
このマンションを5000万円で購入し、購入後リフォームをした。当時サラリーマンだったこともあり、購入後3カ月間は毎週末東京から福岡へ行き、工事等の進捗の確認や不動産会社回りをして満室にし、利回り12%で運用できた。マンションは購入して8年後、8000万円で売却して、実に3000万円の売却益を得た。その後、売却で得た資金を次に購入する不動産に充て、資産をさらに増やすことに成功している。
富山県の多喜裕介さんは、田舎に特化して不動産を購入し順調に資産を増やしている。2014年に初めてアパートを購入し、5年で約90戸の賃貸住宅を所有している。多喜さんの強みは、土地勘があり、地域の情報が最も入ってくる地元に特化している点だ。
多喜さんが1棟目を購入したのは、周りが田んぼに囲まれた築年数の古いファミリー向けアパートだった。そんな地方都市の、さらに郊外の中古アパートを購入した最大の理由は、周辺相場より2割安い家賃を設定しても、満室時の表面利回りは30%を超えると試算できたからだ。裏を返せば、それだけ安い価格で売りに出ていたことになる。
「高利回り」という点に引かれて購入を検討する人は少なくないかもしれないが、ネックとなるのは立地。多くの人は、こんな田んぼのど真ん中に住みたいと思う人がいるのかと不安になるのではないだろうか。多喜さんは、この不安を、地元の事情をよく知っていることと、さらにその地域に関する情報を収集することで解消した。