今、金融機関が評価するのは「新富裕層」という属性
不動産投資において、郊外中古RCの魅力はさまざまあるのですが、融資のハードルが高いという唯一ともいえる欠点があります。
金融機関にとって不動産への融資というのは、担保価値がある、高く金利が取れる、返済計画が見えやすい、グロスで貸しやすいという理由から人気ですが、融資先を選ぶ際に物件ではなく借り手の属性をより重視するようになっています。
では、金融機関から高く評価される個人属性を持つ〝新富裕層〟とは、どんな条件が当てはまるのでしょうか。
ここでいう新富裕層とは、もともと親から譲り受けた資産がある、あるいは地主であるなどではなく、「自分で高収入を稼ぐ力のある層」を指します。具体的には年収2000万円以上、純資産で5000万円以上です。
あえて「純」と付けたのは、例えば8000万円の自宅を所有しているといっても、住宅ローンで7000万円、現金で1000万円で総資産8000万円では条件に当てはまらないからです。
新富裕層は外資系のITもしくは金融業界に勤めているエリートビジネスマンが主に該当します。なぜ外資系かというと、日系企業よりも賃金が高いからです。正確にいうと、外資系が高所得というよりも、日本人の給料が先進国のなかでは相対的に低いといえます。最近では、東大生の官僚離れが進んでいるといわれています。公務員試験に受かっていても外資系コンサルティング会社に就職する人もいます。
東大卒といった地頭がいい人はもちろん、ITに長けた人、営業力のある人、金融で稼ぐ力のある人が、給料の高い外資系企業には多く勤めています。そうした人たちはお金に対するリテラシーも高く、投資に対してもロジカルに考えるという姿勢です。
不動産投資で成功した人に対して、レバレッジを利かせて一攫千金で億万長者になったというイメージを持つ人は多いでしょう。確かに書籍などを見ても、成功への強い意志があり、逆境を跳ね除けて頑張った人のストーリーがよく描かれています。
しかし、現実にはそうした人は少なく、コツコツ地道な努力を積み重ねてきた人が大きく花を咲かせているパターンのほうが多いのです。こうした人たちは、ゴージャスできらびやかなイメージとは異なり、いわば「新」富裕層と呼ぶにふさわしいタイプでしょう。
本業での「新富裕層」の方々とは、目先の所得税節税であったり、将来不安の解消などが目的ではなく、あくまで本業の給与所得でより高みを目指しながら、充実した資産形成のために安定した収益物件を長期保有する属性の人達です。
つまり「不動産を買って豊かになろう」と考えている人ではなく、「既に豊かさを享受しているなかで、さらにそれを強固にしていこう」と考えている人ということです。そのため「なにがなんでも不動産投資をして、人生を逆転させたい」という人はまずいません。そうした“心のゆとり”を持っているのも新富裕層の特徴だといえるでしょう。
というのも、不動産投資は表面利回りだけ見れば割のいい投資商品のように見えますが、修繕費や賃貸募集費、借入返済や税金などを差し引くと決して手残りが潤沢に残るケースばかりではありません。
不動産を使って目先のキャッシュを増やすというより、資産価値のある物件を長期保有して安定収益でローンを返済して、優良な資産形成をしていくことに本質的価値を見出しているのです。