2018年に社会問題となった、新築シェアハウス“かぼちゃの馬車"破綻事件以降、不動産投資へのネガティブなイメージが広がっています。しかし、ある一定の条件を揃えることで、収益不動産を活用した資産形成は実現できます。ここでは、だれも気づかなかった投資用不動産物件の評価基準について詳述します。※本記事は『新富裕層のための戦略的不動産投資』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

バブル時代の建物は築年数が経ってもクオリティが高い

郊外にはバブル期に建てられた物件が多数ありますが、ここに特化した不動産会社はほとんどありません。

 

なぜバブル期に建てられたマンションに注目するかといえば、築年数は経っていても建物のクオリティが高いこと。また、今後ライバルとなる新築RC物件が建つ可能性が低いからです。

 

というのも、私がサラリーマン時代に分譲マンションを建てて売っていた約20年前と比べると、現在は建築費が高騰し、また建築に携わる会社・人の数は激減しています。

 

当時は中小規模のマンションでも1坪あたりの建築費は60万円ほどでしたが、今だと120万円、130万円はかかります。つまり、郊外でRCが建てられるのは、数百戸規模でコストメリットが図れる財閥系の分譲マンションくらいです。

 

また最近、建築費を圧縮した新築木造アパートもありますが、今から20年後の競争力という意味ではバブル期に建てられたRCのマンションが上回るといえるでしょう。昔のRCマンションは解体費用が高くなりますが、それくらいお金を投じて建てられているのです。

 

「建設資材物価指数(2011 年度基準)」( 一般財団法人 建設物価調査会) https://www.kensetu-bukka.or.jp/business/so-ken/shisu/shisu_shizai/ を参考に著者作成
 
[図表1]建材比の推移 「建設資材物価指数」(一般財団法人 建設物価調査会)
「建設資材物価指数(2011年度基準)」を参考に著者作成

 

 

「毎月勤労統計調査全国調査 長期時系列表」(厚生労働省) ※e-Stat「毎月勤労統計調査」を参考に著者作成
 
[図表2]建築業界給与の推移 「毎月勤労統計調査全国調査 長期時系列表」(厚生労働省)
※e-Stat「毎月勤労統計調査」を参考に著者作成

 

 

出典:国土交通省「建築着工統計調査」より作成
[図表3]郊外新築RC供給数の推移(首都圏) 出典:国土交通省「建築着工統計調査」より作成

 

 

出典:国土交通省「建築着工統計調査」より作成
[図表4]郊外新築RC供給数の推移(関東3県) 出典:国土交通省「建築着工統計調査」より作成

 

以上のことから、今後この郊外エリアに競合となるバブル期と同じレベルのRCマンションが新築で建つ可能性は極めて低いといえます。建ったとしてもコストが圧倒的に違うため価格帯は競合にならないでしょう。

 

木造や鉄骨物件なら、これからも新築で建っていくでしょうがRC物件が建つ可能性は低く、今すでにあるRC物件の希少価値が高いということです。

 

木造物件と比べたときのRC物件のメリットは、主に次の通りです。

 

●資産価値が圧倒的に高い

●耐震・防音・断熱機能に優れ気密性も高い

●経済的耐用年数が長い(長期間安定収益をもたらす)

 

特に、経済的耐用年数が長いという点については、国土交通省が2013年に発表した資料の中にも記載があります。

 

法定耐用年数ではRCの耐久力が47年とされていますが、実際はそれ以上あるという知見が多数紹介されているのです(図表5)。

 

「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」 国道交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課、平成25年8月
[図表5]国交省によるRC 造の耐久力 出典:「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
(国道交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課、平成25年8月)

 

次ページある程度の規模、設備の調った中古RCに優位性あり
新富裕層のための戦略的不動産投資

新富裕層のための戦略的不動産投資

杉山 浩一

幻冬舎

不動産投資で成功できるのは限られた人だけ! 分析に基づいた論理的戦略とは? 不動産投資は危険…2018年に社会問題となった新築シェアハウス“かぼちゃの馬車"破綻事件以降、不動産投資に対するネガティブなイメージが広…

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